[画像] ハイテクが生み出す無人農場、中国の農村振興を後押し

ハイテクが生み出す無人農場、中国の農村振興を後押し

湖南省益陽市大通湖区の収量調査現場で、再生稲を刈り取る自動収穫機。(10月31日、ドローンから、長沙=新華社記者/陳思汗)

 【新華社北京11月14日】中国と世界の農業は、農村労働力の高齢化や女性化、副業化の傾向が強まる中で「誰が、どのように担うか」という共通の課題に直面している。中国では現在、スマート化、自動化、デジタル化に代表される農業生産の情報化率が既に27%を超え、スマート化が農業発展の各分野、各プロセスに浸透している。

 東北地方の黒土地帯の中心に位置する吉林省。中国の重要な商品穀物生産地であり、これまでほとんどの農家が家畜と人の手に頼る伝統的な方法で耕作を行っていたが、今ではスマートフォンでビッグデータプラットフォームに接続するだけで、作物の生育状況などをリアルタイムで確認できるようになった。約8千ムー(約530ヘクタール)の農地があり、トウモロコシや大豆、コーリャンが収穫期を迎えた同省公主嶺市孟家村も、かつては全村民が伝統的な方法で半月かけていた収穫が、近代的な機械設備により1週間ほどで済むようになった。人手も10分の1で足りるという。

ハイテクが生み出す無人農場、中国の農村振興を後押し

吉林省永吉県の家庭農場で、水稲に肥料を散布する農業用ドローン。(8月20日撮影、永吉=新華社記者/張楠)

 広西チワン族自治区貴港市の水稲農場でも同様の変化が起き、農家の人たちはパソコンを操作するだけで農場の状況が手に取るように分かる。同農場は中国工程院院士(アカデミー会員)、華南農業大学の羅錫文(ら・せきぶん)教授のチームが設立した水稲無人農場で、耕運、種まき、管理、収穫の全工程が無人化されている。チームはこれまでに全国15省で無人農場を30カ所余り設立。水稲の収量と栽培効率は人の手による栽培に比べ明らかに向上した。

 こうしたハイテク感にあふれる農業の光景はもはや珍しくない。中国スマート農業業界の市場規模は2023年、前年比9.2%増の713億元(1元=約21円)となり、22年末までに無人農場プロジェクトの件数は100件、面積は30万ムー(約200平方キロ)を超え、22省(自治区・直轄市)に広がった。うち、1万ムー(約667ヘクタール)を超える大型農場は10カ所余りとなる。

ハイテクが生み出す無人農場、中国の農村振興を後押し

吉林省永吉県の家庭農場で、スマート農業可視化プラットフォームを確認する責任者。(8月20日撮影、永吉=新華社記者/張楠)

 山東省棗荘市にある明豊肉鶏養殖家庭農場の責任者、呉成雷(ご・せいらい)さんは最近、農場にスマート養鶏管理システムを導入した。以前は6、7人の人手が必要だった5万羽の管理もスマートフォンアプリを使って一人でできるようになった。人工知能(AI)やビッグデータ、モノのインターネット(IoT)など新たな技術の応用は養鶏の生産効率を高め、コストを削減しただけでなく、製品の品質も大きく向上させた。

 羅氏は、スマート農業は現代農業の発展方向であり、無人農場はスマート農業を実現する重要な手段、未来の農場の発展方向だと指摘した。中国では現在、農作物栽培での耕運、種まき、収穫の総合機械化率が73%を超える。各地ではスマート農業機械技術へのイノベーション投資が強化され、農業の「経験からデータ」への転換が進み、近代的農業生産の新たな活力が持続的に解き放たれている。(記者/沈氷潔)

ハイテクが生み出す無人農場、中国の農村振興を後押し

河南省安陽県の無人農場で、無人トラクターを遠隔操作するスマートフォンの画面を見せる農場職員。(10月11日撮影、安陽=新華社記者/馬意翀)