アブラナゲノムの構造変異を制御する形態形成機構のハイスループット解析と育種応用の模式図。(武漢=新華社配信)
【新華社武漢11月14日】中国農業科学院油料作物研究所は、同研究所の油料作物ゲノミクス・病害抵抗性改良イノベーションチームが華中農業大学アブラナ育種チームと行う共同研究の最新成果を発表した。アブラナの全ゲノムの構造変異と制御機能を種レベルで初めて包括的に解析し、ゲノム構造変異をハイスループット同定するための新たな手法を開発。病害抵抗性が高く高品質なアブラナの優良遺伝資源を創出し、アブラナのバイオテクノロジー育種に貴重な遺伝資源と優れた遺伝資源材料を提供した。研究成果は5日、国際学術誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に掲載された。
研究者によると、ゲノムの構造変異は種の表現型の多様性と適応進化で重要な役割を果たす。構造変異と農業形質の関係を明らかにして知識と技術を作物改良に応用することは、優良遺伝資源の発掘と創出、作物収量の向上、品質の改善、抵抗性の強化などに重要な意義を持つ。ただ、倍数性作物のゲノムは反復配列が多く、変異も豊富かつ複雑なことから、ゲノム構造変異の大規模検出の精度が低い上にコストも高く、現代のバイオ育種の発展を制約するボトルネックの一つになっていた。
研究チームは、ボトルネックの解消に向けた取り組みを続け、倍数性ゲノムの大きな大断片の構造変異をハイスループットかつ高精度に同定する新手法を開発。四倍体種のアブラナを研究対象として、種レベルで全ゲノムの構造変異とその遺伝子発現および形態変異の制御を包括的に解析し、8種の重要な分子制御機構をまとめた。
さらに、これらの成果に基づいて遺伝的変異とその機能を高効率かつ大規模に識別し、解析する新たなプランを提供。アブラナの病害虫抵抗性に関わる代謝物であるグルコシノレート(GSL)の合成と輸送の共役相互作用メカニズムを解明し、抵抗性が高く高品質なアブラナの優良遺伝資源の創出に成功した。(記者/侯文坤)