アメリカ大統領選でトランプ氏の勝利に貢献した実業家のイーロン・マスク氏が、政府の要職に起用されることになりました。「政府効率化省」のトップとして、今後どんな仕事に関わるのでしょうか。マスク氏は親日家との見方もありますが、日本への影響は?
■トランプ氏当選で…資産10兆円増か
藤井貴彦キャスター
「アメリカ大統領選でトランプ氏が当選したことで、その資産が10兆円以上も増えたと言われているイーロン・マスク氏。トランプ次期政権が新たにつくる『政府効率化省』を率いることが発表されました」
「今後、マスク氏が政府の仕事に大きく関わっていくことになるのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「ホワイトハウスに直接取材もできるアメリカ政治のスペシャリスト、明海大学の小谷哲男教授に聞きました。まず、なぜマスク氏が要職に起用されたのか。やはりトランプ氏の大統領選の勝利に大きく貢献したことが挙げられます」
「1つは、日本円で約200億円もの多額の献金。もう1つは言論空間の提供です。マスク氏はツイッター社を買収してトランプ氏のアカウント凍結を解除した上で、過激な支持者の発言を制限することなく、トランプ氏に有利な言論空間を提供しました」
■支出の無駄遣い一掃、規制撤廃へ
藤井キャスター
「そのマスク氏が率いることになる『政府効率化省』は、何をするのでしょうか?」
小栗委員長
「『省』という名前がついてはいますが、政府の外の組織で、いわば諮問委員会のようなものではないかとみられます」
「そのためマスク氏はこれまで通り実業家としての本業は続けられます。その上でホワイトハウスと一緒になって政府の支出の無駄遣いを一掃したり、規制の撤廃を行ったりすることがマスク氏のビジネスにもメリットとなりそうです」
「さらに、マスク氏が取り組むミッションの1つが、『闇の政府』の解体だと言われています。共和党のトランプ氏の言う『闇の政府』とは、ライバルの民主党が牛耳る政府です。この中には民主党寄りのキャリア官僚も含まれています」
「小谷教授によると、大統領1期目の時にこの『闇の政府』に邪魔をされたと信じているそうです。このためトランプ氏はマスク氏と一緒になって追放しようと考えているということで、その規模は2〜3万人です」
「小谷教授の知り合いのキャリア官僚の中には『もう自分はクビを切られるから、真剣に職探しを始めている』と言う人もいるそうです」
「そしてトランプ氏の陣営は新たな官僚の候補として、自分たちに近い保守的な考え方の人材を数万人規模で送り込むプロジェクトも既に始めているということです」
■親日家の見方も…日本への影響は?
藤井キャスター
「なかなか予想できないことが起きようとしています。マスク氏は親日家だという見方もあります。マスク氏がアメリカ政治に関わることで、日本にはどういう影響がありそうですか?」
小栗委員長
「マスク氏は中国の習近平国家主席に直接会うことができるほか、ロシアのプーチン大統領とも電話ができる間柄だといいます。そのため、親日家だからといってどこまでマスク氏をすぐに信用していいかは未知数です」
「小谷教授は、『中国やロシアとも関係が深いということを念頭に置いて付き合っていく必要がありそうだ』と指摘しています」
篠原ともえさん(デザイナー/アーティスト『news zero』水曜パートナー)
「(6日の放送で)今後はトランプ氏のやりたい放題になる可能性があるという解説が印象に残っていました。そうしたら、今週は数万人の官僚を追放するかもしれないというとんでもない話が出てきたので、怖くなりました」
「今後の展開も未知なので、しっかり情報を見ていきたいと感じました」
(11月13日『news zero』より)