中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
富士通が希望退職者を募集し、10月末で退職していたことが明らかになりました。2025年3月期上半期に退職金の積み増しなど、関連費用200億円を計上しています。富士通は足元の業績の伸び悩みが見え始めており、賃上げやジョブ型雇用制度の採用も人員整理の背景にあると考えられます。
◆「売上収益」が前年同期間比で5.0%減少
2025年3月期2Q単体の営業利益は350億円。前年同期間と比較して23.4%減少しました。事業構造改革費用として200億円を計上。四半期単体では大幅な営業減益となっています。
これは一過性の費用であるため、本業の収益性が急悪化しているわけではありません。2Qの調整後営業利益(営業利益から一過性の損益を除いたもの)は558億円で、前年同期間の1.16倍となりました。
ただし、注目したいのが売上収益。同期間は8666億円で、前年同期間比で5.0%減少しているのです。
◆「二桁成長する」との強気の発言はどこへ…
富士通は国内有数のITベンダーであり、デジタルサービスを扱うサービスソリューション事業が売上収益全体の6割近くを占めています。その中でも主力事業となっているのがリージョンズ(Japan)。日本の官公庁や企業向けにシステム構築やITサービスを提供しています。
リージョンズ(Japan)は今期8.5%の増収を見込んでいます。2025年3月期1Qの同事業の売上収益は前年同期間比4.0%増の2726億円。計画に対する伸びは限定的でした。1Qの決算説明会の際、2Q以降は二桁伸長を見込んでいると説明していました。
しかし、2Qのリージョンズ(Japan)の売上収益は3106億円で、前年同期間比でわずか0.5%の増加でした。
10月31日の決算説明会においては、前期に大型の複数年度契約が3件あり、その反動が出たと説明しています。計画ではその反動も織り込んでいたはずで、上期の国内の受注は前年同期間の1%減。足元では案件の獲得が弱含んでいる可能性もあるのです。
◆ITベンダーへの脱皮で「社員に求められるスキル」が高水準に
富士通は電機メーカーから脱却し、システム開発や保守・運用へと集中することで収益性を高めてきました。特に2018年に携帯電話端末事業を投資ファンドに売却した2018年以降、営業利益率を高めています。2018年8月期は4.5%、2023年3月期は9.0%まで上昇しました。
2024年3月期はヨーロッパのパソコン事業からの撤退損を計上。営業利益率は4.3%まで低下しました。これは一過性の損失計上のため、今期の営業利益率は8.2%まで高まる見込みです。
富士通は採算性の高いサービスソリューション事業への更なる選択と集中を進めており、半導体パッケージ用基板を製造する新光電気を政府系投資ファンドの産業革新投資機構に売却する予定です。
製造業は組織の仕組み化を進めることで、収益改善を図ることができます。社員が持つ特別なスキルよりも、個人の調整力や各部門・部署にフィットする人材の配置が重視されがち。しかし、ITベンダーは個人のスキルがモノをいう世界。クライアントの課題を見抜いて解決策を提示するコンサルティング能力や最新のプログラミングの知識だけでなく、プロジェクト規模に合致した概算費用を算出することも大変な知識量や経験を求められます。
こうした背景もあるのでしょう。富士通は2020年4月に幹部社員に対して、ジョブ型人材マネジメントを導入。2022年に一般社員4万5000人向けにも適用しました。サービスソリューション事業を成長させるには、能力の高い人材を育成するための仕組みづくりが欠かせなくなったのです。
富士通が希望退職者を募集し、10月末で退職していたことが明らかになりました。2025年3月期上半期に退職金の積み増しなど、関連費用200億円を計上しています。富士通は足元の業績の伸び悩みが見え始めており、賃上げやジョブ型雇用制度の採用も人員整理の背景にあると考えられます。
◆「売上収益」が前年同期間比で5.0%減少
2025年3月期2Q単体の営業利益は350億円。前年同期間と比較して23.4%減少しました。事業構造改革費用として200億円を計上。四半期単体では大幅な営業減益となっています。
これは一過性の費用であるため、本業の収益性が急悪化しているわけではありません。2Qの調整後営業利益(営業利益から一過性の損益を除いたもの)は558億円で、前年同期間の1.16倍となりました。
ただし、注目したいのが売上収益。同期間は8666億円で、前年同期間比で5.0%減少しているのです。
◆「二桁成長する」との強気の発言はどこへ…
富士通は国内有数のITベンダーであり、デジタルサービスを扱うサービスソリューション事業が売上収益全体の6割近くを占めています。その中でも主力事業となっているのがリージョンズ(Japan)。日本の官公庁や企業向けにシステム構築やITサービスを提供しています。
リージョンズ(Japan)は今期8.5%の増収を見込んでいます。2025年3月期1Qの同事業の売上収益は前年同期間比4.0%増の2726億円。計画に対する伸びは限定的でした。1Qの決算説明会の際、2Q以降は二桁伸長を見込んでいると説明していました。
しかし、2Qのリージョンズ(Japan)の売上収益は3106億円で、前年同期間比でわずか0.5%の増加でした。
10月31日の決算説明会においては、前期に大型の複数年度契約が3件あり、その反動が出たと説明しています。計画ではその反動も織り込んでいたはずで、上期の国内の受注は前年同期間の1%減。足元では案件の獲得が弱含んでいる可能性もあるのです。
◆ITベンダーへの脱皮で「社員に求められるスキル」が高水準に
富士通は電機メーカーから脱却し、システム開発や保守・運用へと集中することで収益性を高めてきました。特に2018年に携帯電話端末事業を投資ファンドに売却した2018年以降、営業利益率を高めています。2018年8月期は4.5%、2023年3月期は9.0%まで上昇しました。
2024年3月期はヨーロッパのパソコン事業からの撤退損を計上。営業利益率は4.3%まで低下しました。これは一過性の損失計上のため、今期の営業利益率は8.2%まで高まる見込みです。
富士通は採算性の高いサービスソリューション事業への更なる選択と集中を進めており、半導体パッケージ用基板を製造する新光電気を政府系投資ファンドの産業革新投資機構に売却する予定です。
製造業は組織の仕組み化を進めることで、収益改善を図ることができます。社員が持つ特別なスキルよりも、個人の調整力や各部門・部署にフィットする人材の配置が重視されがち。しかし、ITベンダーは個人のスキルがモノをいう世界。クライアントの課題を見抜いて解決策を提示するコンサルティング能力や最新のプログラミングの知識だけでなく、プロジェクト規模に合致した概算費用を算出することも大変な知識量や経験を求められます。
こうした背景もあるのでしょう。富士通は2020年4月に幹部社員に対して、ジョブ型人材マネジメントを導入。2022年に一般社員4万5000人向けにも適用しました。サービスソリューション事業を成長させるには、能力の高い人材を育成するための仕組みづくりが欠かせなくなったのです。
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