[画像] セブン、ローソン、ファミマ…3大コンビニの「上げ底弁当」を徹底検証! もっとも“上げ底度”が高かったコンビニは…?《「セブンの弁当は上げ底か」論争に決着》

 もはや日常生活において、必要不可欠の存在であるコンビニエンスストア。しかし、近年、そのコンビニの弁当で、実際より見かけを立派に見せる“上げ底”がなされているのではとの指摘がネットなどで相次いでいる。

【画像】セブン、ローソン、ファミマ…3大コンビニの上げ底弁当を徹底検証! 最も上げ底度が高かったコンビニは?

 日々取材に明け暮れ、コンビニ弁当を食べて空腹を満たすつかの間だけが幸福に感じる瞬間である週刊文春記者にとっても、これは死活問題。そこで、週刊文春は今回、大手コンビニ各社の弁当の“上げ底”具合を徹底検証。そこで見えてきたコンビニ弁当の実態とは――。


写真はイメージ  ©AFLO

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 10月25日、文春オンラインで配信した記事、セブン社長に「上げ底弁当」疑惑を直撃「そんなアコギなことはできない」「ネットに投稿する方は、事実をもって投稿してほしい」において、セブン&アイHD専務でセブン-イレブン・ジャパン社長の永松文彦氏(67)は、SNSで度々話題になっている“上げ底”疑惑について、以下のように説明した。

「電子レンジで温めたりするアレがありますから。多少は(傾斜が)ないとダメなんですよ。(中略)あれはルールで、何パーセントって決まってるんですよ。だからそんな、アコギなことはできないんですよ」

「ネットに投稿する方は、本当に事実をもって投稿してほしいですね……」

 永松社長は弁当の上げ底疑惑について否定。しかし、この回答を掲載した記事が公開されると、Xを中心に大きな反響を呼んだ。

〈「セブンイレブンが1人負けしてる理由がよくわかりますね〜」

「社長がこんな認識なのか セブンは上げ底弁当の他に、『美味しくなって(量減らして)新登場』も散々やってきたからな 悪い意味での信頼しかない」〉

 記者の実感としても、セブンの弁当容器はご飯の底の部分に膨らみがあったり、おかずの部分に傾斜があったりと“上げ底”と言われても仕方がない気もする。しかし、これが「アコギなこと」かどうかと問われると、そもそもコンビニの弁当ってこんな感じだったのでは、とも思ってしまう。

 果たして、セブンの容器は本当に上げ底なのか、それとも大体どこもそんなものなのか? そこで、今回セブン、ファミリーマート、ローソンの業界大手3社の弁当容器の“上げ底”具合を徹底比較してみた。

 さて、その比較の方法だが、今回は、コンビニ弁当における代表的な容器2種類で試してみる。1つ目は、唐揚げ弁当などで用いられる、白米と総菜が並ぶお弁当箱タイプ。そして、2つ目は、近頃流行りの、総菜と米が上下別々の容器で入っている二重構造のどんぶりタイプだ。

3社徹底比較 1. 弁当箱タイプ

 弁当箱タイプでは、各社で販売されているコンビニ弁当のド定番「唐揚げ弁当」で比較する。

■セブン-イレブン

 セブンで取り扱われているのが「若鶏のジューシー唐揚げ弁当」(税込572円)。一目でわかるほどこんもりと盛られた白米と大きなから揚げが特徴だ。

 容器は薄く、そこまでの厚みはない。しかし、白米と総菜のスペースの底面の中央部分がT字形に盛り上がっている。見た目は非常にボリューム感があるが、容器を除いた重量は389g。容器のサイズは縦17cm、横22cm、高さ4cmで、なんとなく、嵩を増している印象はぬぐえない。

■ファミリーマート

 続いてファミリーマートが販売しているのは、「にんにくが決め手の唐揚弁当」(税込598円)。唐揚げの聖地といわれる大分県中津市に本店を置く、唐揚げの名店「もり山」が監修している。パンチのある唐揚げはご飯が進む。この味付けだとご飯が進みすぎて足りなくなってしまう人もいるのかもしれない。容器を除いた重量は387g。容器のサイズは縦約18cm、横約24cm、高さ4.7cmだ。

 しかし、容器をよく見ると、立体的な構造をしている。地面の接着点から高さのある底をしているのだ。白米のスペースは扇状でなだらかに斜めになっていて、セブンほどではないが、これは“上げ底”なのでは? と疑いたくなる形状だ。

■ローソン

 最後はローソン。「これが鶏竜田揚げ弁当」(税込592円)が販売されている。3社の中で唯一、ごまがふりかけている白米ではなく、混ぜ込みわかめご飯となっている。竜田揚げのサイズも大きい。

 容器のサイズも縦18cm、横22cm、高さ4.8cmとセブンより一回り大きく、お得感がある。容器を除いた重量は399gとこちらも3社の中で一番重量があり、コスパがよさそうだ。容器の四隅は置いたときの安定性確保のためか、L字型にへこんでいるが底面は平らだ。ボリュームのある見た目をしているが上げ底はされていない。

 さて、3社の唐揚げ弁当がそろったところで、それぞれの弁当容器の「実際の容量」を「見た目の体積」で割った値を出してみる。この数字が小さいほど、弁当容器の見た目の大きさに比べて、入る中身の量が少ないことになる。つまりこの数字を比較することによって、各社の「弁当容器の嵩増し度合い」がわかるのだ。結果は、

〈セブン-イレブン 0.27
ファミリーマート 0.28
ローソン     0.42〉

 となり、ローソンに比べセブン、ファミマの嵩増し度合いが目立っている。

3社徹底比較 2. どんぶりタイプ

 続いてどんぶりタイプの容器も見ていく。3社とも、様々な種類のどんぶり料理を販売しており、容器も様々だ。ここでは、近年一般的になりつつある、具とご飯が別々の容器に入っているセパレイトタイプの容器が用いられ、3社とも販売している「かつ丼」で比較することにした。

■セブンイレブン

 セブンイレブンが販売しているかつ丼は、「ロースかつ丼」(税込648円)。容器を除いた重量は470gと3社の中でも頭一つ抜けたボリュームだ。カツの衣がしっかりしており、卵でとじても型崩れは起きていない。

 さらに直径約18cmの円形の容器が特徴だ。総菜部分の容器は中央部分が盛り上がっているものの、カツがしっかりしているためか、そこまで気にならないだろう。

 白米の容器はすり鉢状になっており、側面は段々に加工されている。どんぶりの大きさほどご飯の量があるわけではなく、カツのボリュームがある分、白米がもう少し欲しいと感じる人もいそうだ。

■ファミリーマート

 ファミリーマートが販売しているのは、「特製だし香る!三元豚のロースかつ丼」(税込598円)。容器を除いた重量は414gと次に紹介するローソンと同程度だ。香りの良い出汁がふんだんに使われていることが分かり、和風が好みの人にはもってこいだろう。

 総菜部分の容器は深さはあるが、中央部分に四角く縁取るように盛り上がりがある。そこまで気にならないものの、陳列されていると実態以上の見かけのように見受けられるかもしれない。

 白米部分は四角くなっているが、底面の四隅は丸みがある。辺の部分にもへこみがあり、四隅突出型墳丘墓のように見える。底面の中央部分も大きく盛り上がっている。さらに、側面にも出っ張りがある。こちらも容器の見た目よりはご飯の量を少なく感じる人がいるかもしれない。

■ローソン

 最後のローソンは「これがロースかつ丼」(税込646円)を調べる。容器を除いた重量は417g。肉厚なカツが特徴だ。卵と出汁もほどよく、バランスがいい。

 四角い容器のサイズは縦横約16cm。サイズは一番小さいが、唐揚げ弁当同様に不自然な上げ底はない。白米部分の底は多少盛り上がっているが、セブンやファミリーマートと比較して、上げ幅はほとんどないのが特徴である。

 3社の容器を比較してみるとここでも、セブンとファミマの容器には「見た目の量を嵩増ししているのでは?」と思える部分があった。ここでも唐揚げ弁当と同様に「実際の容量」を「見た目の体積」で割った値を出してみたところ、

〈セブン-イレブン 0.5
ファミリーマート 0.68
ローソン     0.73〉

 となり、唐揚げ弁当同様、セブンが一番嵩増し度が高く、ローソンが一番低いという結果になった。

《結果発表》

 以上、コンビニ大手3社の弁当容器を徹底比較した結果、セブンとファミリーマートの弁当の容器には、実態より見かけが良くなるような工夫が見受けられるが、ローソンには上げ底などは見られなかった。つまり、上げ底度でいえば、セブンが一番高く、ローソンが一番低いといえそうだ。

 こうなるとスーパーやほか弁屋さんなどで売っている弁当についても比較してみたくなるが、それはまたのちの機会に譲ろう。

 セブンについては前回の記事で、上げ底疑惑について見解を聞いたので、今回はファミマとローソンの広報にそれぞれ見解を求めた。

 ファミリーマートに上げ底をしている理由とSNSで上げ底について話題になっていることについての見解を問うと、

「お弁当などの容器について、メニューの特性に合わせて、お召し上がりやすさや持ちやすさ、運びやすさなど、さまざまな角度で検討し決定しております。商品設計において、実際の容量より多く見せる意図はございません」

 と回答。ローソンからは、

「弊社の容器に関しては、レンジ加熱効率や積み重ねの利便性を踏まえたルールを設けており、基準外の容器は採用しておりません。引き続きお客様のニーズに合った商品の開発に努めてまいります」

 と回答があった。

 それにしても、今回の調査にあたり改めて実感したのはコンビニ弁当の多様性。各社工夫を凝らした様々な種類の弁当を販売しており、そもそもどの種類の弁当で比較したものか迷ってしまった。百花繚乱の感があるコンビニ弁当ウォーズのただなかにあって、この原稿が、読者が見た目に惑わされず、最強のコンビニ弁当を見極める一助になれば幸いである。

※ちなみに比較に使った弁当はすべて記者が美味しくいただきました。

(「週刊文春」編集部/週刊文春)