10月23日、デンマークが国を挙げて取り組むAIデータセンターの開設式で、フレデリック国王とAIイノベーションセンターのCEOに任命されたナディア・カールステン氏、そして米半導体メーカーNVIDIA(エヌビディア)のCEO、ジェンスン・フアン氏が顔をそろえた。
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「この部屋にいる王は私だけではないようだ」
「この部屋にいる王は私だけではないようだ。もう一人は革ジャンを着ていると思う」
そう語ったフレデリック国王。この場で革ジャンを着ているといえば、フアン氏をおいて他にはいないのだが、なぜ彼が王なのか。その答えとなるニュースが、この時から10日後、世界を駆け巡った。
〈米国のNYダウ銘柄がインテルからエヌビディアに〉――日本時間11月2日朝のことであった。
インテルといえば「インテル入ってる」のCMでおなじみの米国の半導体企業で、コンピューターの心臓CPUの製造では圧倒的な世界シェアを誇ってきた。にもかかわらず、米国の代表的株価指数である「NYダウ工業株30種」から外されてしまったのだ。
代わりに入ったエヌビディアもまた半導体企業である。ただインテルがシェアを誇るのが汎用的なCPUであるのに対して、こちらは画像処理など、よりコアなユーザーに向けたGPUの製造であった。それが2022年11月のChatGPTの登場で人工知能ブームが起こると、より高性能を求めて、エヌビディアのGPUに特需が起こり、いまや時価総額でマイクロソフトやアマゾンを超える勢い。
「九州じゃんがら」の大ファン
そんなエヌビディア創業者、フアン氏はどういう人物か。
現在61歳。化学エンジニアの父と小学校教師の母の間に、台湾で生まれた。5歳の時にタイに移住し、9歳で親元を離れ親戚の住む米国へ。その後、オレゴン州立大、スタンフォード大で電気工学を修め、エヌビディアを仲間と立ち上げたのは1993年、30歳の時だった。少年時代はいわゆる不良校で過ごし、学生時代はファミレスでバイトしていたという。
日本についていえば豚骨ラーメンで有名な「九州じゃんがら」の大ファンで、東京に来た時には赤坂の店に行くそうだ。ある時、派手なのれんをくぐった先に革ジャンの男がいれば、それは世界的大富豪かもしれない。
写真・共同通信
「週刊新潮」2024年11月14日号 掲載