[画像] ChatGPTの登場で宿題お助けサービスが大ピンチ



学生の17%が「課題や試験にChatGPTを使っている」と回答したり学生のレポートの11%にAIが使われていたことが判明したりと、ChatGPTなどのAIサービスを宿題や課題の補助に使うことは一般的になりつつあります。この状況の中、宿題お助けサービス大手のCheggが窮地に立たされています。

How ChatGPT Brought Down an Online Education Giant - WSJ

https://www.wsj.com/tech/ai/how-chatgpt-brought-down-an-online-education-giant-200b4ff2

Cheggは2004年に設立された企業で、設立当初は学生向けの安価な教科書レンタルサービスを展開していました。2014年には宿題のQ&Aサービスを開始し、「認証された専門家による解説サービス」や「スマートフォンで宿題の写真を撮影するだけで解答を表示するサービス」などをリリースしてきました。



Cheggは宿題の解答を直接アドバイスするだけでなく、学習の理解を助けるコンテンツや24時間365日のオンラインチューターサービスも展開しています。



CheggはQ&Aサービスを開始した2014年以降も業績を伸ばし続け、コロナ禍では驚異的な成長を見せました。しかし、2021年後半には株価が急落し、2022年11月のChatGPTリリース後も株価が下落し続けました。



投資銀行のNeedhamが実施した調査では、2024年秋学期にCheggを使うと回答した学生は全体の30%で、2024年春学期の38%から減少したとのこと。一方で2024年秋学期にChatGPTを使うと回答した学生は全体の62%で、2024年春学期の43%から大きく増加しています。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、Cheggの社内ではChatGPTのリリース前から「AIを用いて自動的に解答を出力するシステム」の開発が検討されていたとのこと。しかし、幹部によって開発計画は拒否されました。また、ChatGPTがリリースされた際も「ChatGPTは間違った解答を出力することがあるため、Cheggの脅威とはならない」という意見が挙がっていたそうです。

しかし、ChatGPTのリリースから数カ月が経過すると、Cheggの社内データから「学生がChatGPTを利用するケースが増加している」ということが判明。さらに、GPT-4が出力する解答の一部がCheggに蓄積された専門家の解答よりも高品質であることも明らかになりました。

AIの品質が急速に高まったことを受けて、CheggはOpenAIと提携してGPT-4を用いた学習サービス「CheggMate」を2023年4月に発表しました。しかし、Cheggの業績は回復せず、記事作成時点ではCheggの幹部がCheggMateと距離を置き始めているそうです。





Cheggは2023年8月にScale AIとの提携を発表し、解答の作成にAIを導入しました。さらに、ウェブサイトも刷新し、トップページにチャットAI風のテキストボックスを設置しました。これらの施策にもかかわらずユーザー数は減少し続けており、2024年第2四半期には収益が2023年第2四半期と比べて11%減少しました。さらに、アナリストらは2024年第3四半期には収益が15%減少していると予想しています。



なお、Cheggのネイサン・シュルツCEOはウォール・ストリート・ジャーナルに対して「ユーザーの91%はCheggのサービスに満足している。我々は『チャットAIから無料で得られる解答より優れたものを求める学生』をターゲットにしたいと考えている」とコメントしています。