[画像] 最終回まで観たい秋ドラマ5選。日曜劇場も見ごたえ抜群だけど、ダントツで推せるNo.1は

2024年10月スタートの秋ドラマが盛り上がってきています! 続編の『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系、木曜よる9時〜)は安定的に痛快だし、不安の声も多かった『民王R』(テレビ朝日系、火曜よる9時〜)も予想を上回る面白さです。そんな良作が多そうな今期の秋ドラマ。毎クールの全ドラマチェックを欠かさない筆者が、プライム帯(19〜23時放送)のなかから厳選した“最後まで観たいおすすめ5選”をご紹介します。

◆噓解きレトリック

まずは、鈴鹿央士と松本穂香がダブル主演を務める『噓解(うそと)きレトリック』(フジテレビ系、月曜よる9時〜)。都戸利津氏の同名コミックの映像化作品です。鋭い観察眼を持つ貧乏探偵・祝左右馬(いわい・そうま/鈴鹿)と、“人の嘘が聞き分けられる能力”をもつ探偵助手の浦部鹿乃子(うらべ・かのこ/松本)のコンビが難事件に挑むミステリー。

まず、繊細な心の機微を大切に描いている部分も好感がもてます。“嘘が分かる”ことを気持ち悪がられて故郷を出た鹿乃子と偶然出会った左右馬が、彼女に興味をもつ。彼女のコンプレックスを理解し、寄り添い、ポジティブなものへと変えながらコンビとして絆を深める1・2話の描写は秀逸でした。

飄々(ひょうひょう)とした鈴鹿と、控えめながらも一生懸命な松本の演技がとにかくイイ! 昭和初期のレトロな街並み(探偵事務所にくる猫もかわいい!)に、ふたりの雰囲気がマッチしていて、ミステリーなのに優しい気持ちで観られる不思議な作品です。

◆宙わたる教室

大阪府のとある定時制高校・科学部の実話に着想を得て生まれた伊与原新氏の同名小説を、窪田正孝主演でドラマ化した『宙(そら)わたる教室』(NHK総合ほか、火曜よる10時〜)も、しっとり系の良作。

年齢もバックグラウンドもバラバラな生徒たちが通う定時制高校に、謎めいた理科教師の藤竹(窪田)が赴任してくるところから物語はスタート。さまざまな事情を抱えた生徒たちとの交流を経て“科学部”を新設。学会発表という大きな目標に向かって進む姿が描かれています。

主演の窪田はもちろんですが、訳アリの生徒たちを小林虎之介、伊東蒼、ガウ、イッセー尾形らが熱演。夜の学校を“諦めたものを取り戻す場所”として、世代も性別も関係なく困難に立ち向かって奮闘する彼らの姿には、胸が熱くなりました。今後は藤竹の過去も明らかになっていくでしょうし、第5話では学会で発表する「火星クレーターの再現」が決まったところ。ますます目が離せません。

◆放課後カルテ

もう1作品、学校ものから『放課後カルテ』(日本テレビ系、土曜よる9時〜)を。日生マユ氏の同名コミックが原作で、主人公が教師ではなく、小学校の保健室に勤める“医師”という一風変わった設定です。

ボサボサ頭で仏頂面の小児科医・牧野(松下洸平)は、教師も児童も関係なくぶっきらぼうで怖い。しかし確かな観察眼で、子どもたちの“言葉にできないSOS”を見抜き、救っていくヒューマンドラマです。

他作品では世の女性たちを癒す役どころが続いた松下が、本作では新たな魅力で惹きつけています。牧野先生を、ただの嫌〜な先生ではなく、医師としての信念や想いがあり、時には児童にいじられるような愛すべきキャラクターに昇華させているのです。

物語と分かっていても、子どもたちが辛そうなシーンには心が痛みます(子役の皆さまがこれまたお上手で)。だからこそ、頑張って! 元気になって! と応援したくなる作品です。

第4話では、孤独感から破壊衝動を抱えてしまった羽菜(小西希帆)の母親を、SPEEDの島袋寛子が演じたことも話題になりました。まだ発表されていないゲスト出演もありそうなので、そちらも合わせて注目です。

◆海に眠るダイヤモンド

『海に眠るダイヤモンド』(TBS系、日曜よる9時〜)は、とにかく日曜劇場らしい豪華なゲストと壮大な映像美に圧倒されます。石炭産業で躍進した昭和の長崎県・端島と、現代の東京を舞台に、謎が謎を呼ぶ展開が話題になっています。

1955年当時の端島の生活をリアルに感じさせる丁寧な描写に、神木隆之介、杉咲花、池田エライザ、清水尋也、土屋太鳳らの豊かな心情表現が相まって、見応えは抜群です! 放送が衆院選で中止になったこともありまだ2話しか放送されていませんが、野木亜紀子氏の脚本だからこそ、伏線がそこかしこに散りばめられている気しかしません。SNSでもさまざまな考察が!

特に、現代編の謎の婦人・いづみ(宮本信子)が、端島編の3人のヒロイン(杉咲花、池田エライザ、土屋太鳳)の誰かではないか? との考察が行き交っていますが、筆者は百合子(土屋)説が有力と予想。入念に描かれてきた点と点が繋がっていく瞬間を心待ちに、考察も楽しみたいと思います。

◆ライオンの隠れ家

今のところ筆者のNo.1は、柳楽優弥と坂東龍汰の兄弟がやたらと推せる『ライオンの隠れ家』(TBS系、金曜よる10時〜)です。市役所で働く真面目な兄・洸人(柳楽)と、自閉スペクトラム症の弟・みっくんこと美路人(坂東)のところに、異母姉・愛生(尾野真千子)の息子・ライオン(佐藤大空)が転がり込んでくるところから、物語ははじまりました。

とにかく彼らの周囲はやたらと不穏。岡山天音、尾野真千子、向井理、桜井ユキらが不穏さをまき散らしており、サスペンスとしても十分に楽しめます。

一方で洸人×みっくん×ライオン3人の生活は優しさに溢れており、3人の掛け合いは観ているだけで愛おしくて尊い! 例えば、ライオンのことで振り回される洸人は、終業後のルーティーンだった“みっくんのお迎え”に行けなくなってしまったのですが……仕方ないと理解しつつも、淋しそうなみっくんの佇まいときたら!

そして11月8日に放送された第5話では、ある俳優の熱演が涙を誘いました。ライオンの事件の真相が気になるのはもちろん、洸人×みっくん×ライオンの3人を最後まで見守りたい! 絶対ハッピーエンドにしてほしいと願わずにはいられない展開でした。

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他にも、安達祐実と青木崇高演じる夫婦が3000万円をネコババしたことから、ドツボにはまっていく『3000万』(NHK総合、土曜よる10時〜)や、“托卵”する松本若菜にも、される田中圭にも胃が痛くなるレベルでヤキモキする『わたしの宝物』(フジテレビ系、木曜よる10時〜)などなど……今期は本当に絞りきれない! 観たい作品が目白押しで、寝不足になっているのは筆者だけではないはずです。皆さんがハマっている作品は、どちらでしょうか?

<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>

【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201