【ワシントン共同】トランプ次期米大統領は多国間の枠組みを嫌い、2国間交渉による取引を好む。バイデン政権が中国をにらんでインド太平洋地域で力を入れた多国間連携の枠組みが骨抜きになる可能性もある。同盟国や友好国に負担増を要求する構えで、日本にも米軍駐留経費の増額を求める公算が大きい。

 トランプ氏は中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領と個別に相対する姿勢を示している。インド太平洋地域を重視する立場は変わらないが、アプローチには変化が出るとみられ、日本と足並みの乱れが露見する場面がありそうだ。

 核・ミサイル開発を進める北朝鮮抑止に向け、バイデン政権が制度化を目指した日米韓協力を引き継ぐかどうかは不透明だ。北朝鮮はウクライナ侵攻を続けるロシアに派兵した。安全保障環境を巡り、丁寧な擦り合わせが求められる。

 日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収計画には反対している。トップ同士の信頼関係を重視しており、重要課題の解決には首脳同士の膝詰め交渉が欠かせないとの見方が多い。石破茂首相の対応力が問われる。