それでも自分たちの業務を全て融合のテーブルの上に乗せて、お客さまのためにはどうあるべきかという根本のところから一緒に考えながらゼロから創り上げていきました。
そのときに思ったことは、我々JASは国内線の航空会社として立ち上がった会社である一方、日本航空は国際線の会社です。ですから、考え方が全く違うということでした。
しかし、それは仕方のないことですから、それに対して諦めたり、不満を持ったりしても何も始まりません。「そういうものなのですね」と相手のやり方を一旦頭に置いて、どうしていくべきかを考えていきました。
─ 貴重な経験でもありましたね。赤坂会長から社長就任を打診されたときの気持ちとは、どのようなものでしたか。
鳥取 「私にできますか?」と聞き返してしまいましたね(笑)。「そんな重要な役割を私にできるのでしょうか」と問い返した感じです。これについては、生涯で一番悩みました。
─ 引き受けようと自分を納得させたものは何ですか。
鳥取 私は入社以来、一昨年度までずっと現場にいました。昨年度からカスタマー・エクスペリエンス本部で初めて本社で働き始めましたが、それまではずっと現場にいたわけです。
やはり現場を知っているということは非常に強いと思いますし、自分のこれまでのキャリアが安全に寄っていることも多かった。
昨年度はサービスの部署で仕事をしていましたが、それらの共通点はお客さまです。安全もサービスも、その先には常にお客さまがいらっしゃいます。
そういう意味では、現場を知って、お客さまを知っていることが自分の強みだと。ですから、今あるわけではありませんが、現場と経営との見えない壁を更に、なくしていきたいと思っています。
女性が組織にトップに立って
─ 経営と現場の関係は常に経営につきまとう問題です。現場からも提案してもらわないといけないし、現場からの一方的な提案だけでもいけない。仕事を始めて約40年、この仕事をやっていて良かったなと思ったことはどんなことですか。
鳥取 CAとして飛んでいたときと、管理職になって違う仕事を始めたときとでは、考えることは全く違いました。
CAのときは、本当にお客さまと接することが楽しくて、仲間と一緒に仕事をすることが楽しくて仕方がありませんでした。それだけだったのかもしれません(笑)。
しかし、CAを率いる立場になっていくにつれてマネージメントの楽しさや、しっかりと成長していく後輩の姿を見ていくことの楽しさを感じました。客室本部の楽しさは人を育てることが大きいかもしれません。若い人たちには、もっと挑戦して欲しいなと思っています。
─ 女性活用が叫ばれる昨今、どんなエールを送りますか。
鳥取 女性がリーダーになることは、あるべき姿だと思っています。もっとこれが普通になって欲しいなと。そうしなければ、世の中ももちません。子育てなどを経験した人たちが、いろいろな場で、いろいろな提案をすることが、非常に意味があると思うのです。それは当事者でないと分かりません。
今の世にマッチした提案ができるのは女性であることも多いと思います。そういう経験をした人がもっと経営する立場になってもらえればと思っています。
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