延長戦でも互いに1点ずつを奪い合い、勝負の行方はPK戦へ。名古屋が5人全員成功したのに対し、新潟は4人しか成功させられず、最後の最後に力尽きる形に。PK戦が名古屋サポーター側のゴールにて行われたことも大きかったかと予想されるが、阿部は「PK戦で止められなかったのは自分の力の無さ」とキッパリ。120分間の死闘を振り返って、「仲間に助けられた試合でしたが、結局負けてしまい、悔しいです」と語った。

 新潟の育成組織で育ち、筑波大学を経て“古巣”へ戻ってきた阿部としては、自らが育ったクラブに初タイトルをもたらすチャンスでもあった。決勝のゴールマウスを託されることを事前に通告されていたことで、「少なからずプレッシャーはありました」と明かすが、強く意識していたのは「ファイナルを楽しむ」という根本の部分。「サッカー人生のなかで、決勝は何度立てるかわからない舞台です。悔いのないように楽しもうという思いを持っていました」

 楽しみにしていた舞台は、“あと一歩”が届かない形で幕を閉じた。結果は悔しいものとなったが、試合全体を振り返った時に阿部が口にしたのは「本当に楽しかった」という感想。ファイナルの舞台で全力を尽くしたからこそ出る言葉なのだろう。「名古屋もレベルの高いチームでしたが、自分たちも3度追い付くことができて、『決勝でもやれるんだぞ』ってところは見せられました。自分のミスによる失点はありましたが、このような素晴らしい舞台に立てたことは幸せだなと思いました」と素直に明かした。

 同時に、新潟サポーターへ感謝の言葉も残している。「本当に最高でした。ホーム以上の雰囲気を作り出していただいた」と話した一方で、「結果で応えたかったという思いが強い」と悔しさも口にした。充実感と悔しさの双方を得たファイナルを経て、次こそは自らが生まれ育った新潟にタイトルをもたらすGKとなる。


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