ビロッタのデザインは、乗務員たちにイタリア文化を象徴する高級感と、現代の航空業界にふさわしいスマートさを与えている。政府による再国営化でITA Airwaysに変わったが、最近になってアリタリア航空への回帰のうわさも出始めている。

 ターキッシュエアラインズの制服もビロッタの作品であり、トルコの伝統的なデザインモチーフとモダンなカットが融合している。トルコの文化的遺産を反映しながらも、国際的な航空会社としての現代的な魅力も兼ね備えたこのデザインは、乗客にトルコの豊かな伝統と高いサービス基準を感じさせる役割を果たしている。

◆伝統とモダンを融合とした制服

 130か国への就航国数は世界一であり、多くの乗り入れ国の人々に受け入れられようとする普遍的な美しさを秘めている。2024年9月に東京で開催されたツーリズムEXPOジャパンにてターキッシュエアラインズは出展しており、制服を着用した客室乗務員の存在感は圧倒的であった。

 ANAやJALの制服は、日本国内での人気はもちろん、国際的にも高い評価を受けている。しかし、エットーレ・ビロッタのデザインは、エレガンスと洗練さを兼ね備え、欧州・中東のフルサービスキャリアで採用されている。

 複数の航空会社でデザインが採用された例は少なく、その功績は非常に大きい。世界各地で独自の文化やブランドイメージを表現するために、各航空会社が選ぶデザインは多様であり、ビロッタの作品はその中でも特に注目される存在となっている。

<TEXT/北島幸司>

【北島幸司】
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing