2024年9月25日にパリで「ファッション・ウィーク」が開催され、モデルで女優の水原希子さんが会場に登場。そこで水原さんは乳首が透けて見えるドレスを着用して注目を集めました。
◆パリのファッション・ウィークにトップレス姿で登場
9月25日、ファッション・ウィークの「Saint Laurent(サンローラン)」2025年春夏コレクションに出席した水原さんのスペシャルメッセージを「ELLE Japan」の公式インスタグラムが投稿。水原さんはカーキ色のシースルードレスを着用し、ドレスの下にはブラジャーやインナーをつけていない大胆な姿でした。
ドレスの下に何も纏わず、肌がしっかり透けるシースルードレスのため乳首が露になった今回の水原さんのドレス。「フリー・ザ・ニップル」とも呼ばれるこのスタイルは日本人としては馴染みがなく、一見するとドキっとしてしまうものかもしれません。
「フリー・ザ・ニップル」のムーブメントは、2012年頃に欧米を中心に始まりました。
一般的に昔から男性とは違って女性は公の場でブラジャーを着用しないトップレス姿は下品で性的でネガティブなものとみなされてきました。この慣習にNOを突き付け、女性への不当な扱いを批判し、女性解放を目指すものとしてフリー・ザ・ニップル運動は欧米で大きな動きに。
著名なセレブリティやアーティストも多く賛同し、マスコミの前でブラジャーを着用しないドレス姿でたびたび登場するようになってきています。
◆「女性の性の話はタブー視されがち」TENGAの女性向けブランドのアンバサダーに
水原さんの今回のドレスもまさにフリー・ザ・ニップルを表現するものだったのでしょう。ファッション・ウィークに登場した水原さんに対しては「下品に見える」、「見せつけているの?」とネガティブな声もありました。
しかし男性のトップレスは何も言われないのに女性のトップレスはこのようにいろいろな意見が出ることそのものが、フリー・ザ・ニップルが訴えている今の状況でしょう。
自分の体を愛する。乳首や乳房を恥ずべきものや隠さなければならないものとしない。そして当たり前とされてきた慣習や男女差を疑う。今回の水原さんはブラジャーという女性を抑圧してきた鎧(よろい)を脱ぎ捨て、日本人にファッションの側面からタブーに斬り込もうとする姿に見えました。
水原さんはこれまでもこうしたジェンダーロールや性的なタブーに積極的に取り組んできました。
2023年にセルフプレジャー(自慰行為)アイテムTENGAの女性向けブランド「イロハ(IROHA)」のアンバサダーに就任した際には、日本における女性が性欲を持ったりセックスの話をしたりすることをご法度(はっと)とする風潮や「女性はこうあるべき」という固定観念について持論を展開していました。
<とくに、女性の性の話はタブー視されがち。日本の芸能界でもまだまだ話しづらいこともあって、アンダーグラウンドなカルチャー扱いをされる傾向があるかなと。でも、大切な身体の話。>(IROHA公式サイトより)
女性解放の視点だけでなく、男女がそれぞれの価値観を尊重してもっとオープンに性の話をして理解を深められるようになってほしいと語っていたのです。
◆「こういう人が出てきてくれないと日本も前に進まない」という声も
また水原さんは、女性もセルフプレジャーに向き合うことで、自分の体や自分自身を思いやることができるとして、自分の体を愛してポジティブに捉える重要性も発信しています。
<「性」と聞くと臆してしまう人もいるけれど、セルフプレジャーは健康の話。私は全く知識がなかったんですが、母が病院で診断を受けたことをきっかけに、膣トレは大切なのだと実感しました。たしかにジムで身体を鍛えるように、膣も体の一部としてケアすべきですよね>(IROHA公式サイトより)
タブー視せずにポジティブに家族やパートナーと性の話をしてほしいと願いつつも、まだまだ抵抗感や後ろめたさを持ってしまう女性にも寄り添い、「自分は変なのかもしれない」とは絶対に思わないでほしいともメッセージを綴っていました。
今回の水原さんのフリー・ザ・ニップルのドレスは普段から彼女が発信している力強いメッセージの一つだったのでしょう。また女性におけるトップレスや性などのタブーがオープンになることは、女性解放だけでなく男女の相互理解にも繋がるはず。
一部の女性からは「こういう人が出てきてくれないと日本も前に進まない」と称賛の声もありました。水原さんの存在によって、“自分の体の見せ方や愛し方は自分が決めていい”という社会通念が少しずつ浸透していくことを期待せずにはいられません。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中
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