チームの危機を救う一発と気合のこもったバットフリップには日米で好意的な意見が寄せられた。「雄叫びとバット投げカッコよすぎるだろ」や「バットフリップとしては大谷翔平史上最大のパフォーマンスだった」といった声である。ただ一方で、「挑発行為と思われないか心配するくらい」とする日本のファンもXで散見された。

◆大谷のバットはパドレスベンチ方向へ

 改めて本塁打の映像を見ると、柵越えを確信した大谷が放り投げたバットはパドレスが陣取る一塁ベンチの手前まで転がっていったことがわかる。仮にこのパフォーマンスを見せたのが大谷ではなく“いわくつき”の打者なら、挑発行為と捉えられても不思議ではないだろう。

 現地でも大谷のバットフリップに対して好意的な意見が大半だが、反対の意見もないわけではない。「第1戦の大谷のバットフリップはあまり好きではなかった」「フィールド上で興奮を露わにするのは好きだけど、相手チームのダッグアウトに向けて放り投げるのはちょっと失礼だと思う」「大谷が1時間で稼ぐ額を1年で稼げない人(ボールボーイ)が、フィールドの反対側まで行ってバットを拾わなければならない」など、大谷に疑問を投げかける意見も少なからずあった。

 大谷をよく知る日本のファンは、あのバットフリップに悪意のかけらもないことは言わずもがな。ただし、結果的に第2戦のいざこざの小さな火種になっていた可能性も否定はできない。

◆注目の第3戦の行方は…

 舞台をサンディエゴに移して行われる第3〜4戦も引き続き熱戦が期待される。第2戦で沈黙した大谷の打棒にも期待がかかるが、再び熱くなりすぎるようなら、突如としてパドレスベンチの“標的”になる危険性も秘めているといえるかもしれない。

 両チームにはプレーでファンを魅了し、報復合戦のような様相にだけはならないことを祈りたい。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。