すず:全部で4万円ぐらいです。たぶん交通費が安い時期だったと思うのですが、交通費が片道2万円。ゆうパックとかで荷物を送るので2万円かかりました。荷物は着るものだったり最低限必要なものだけに絞って、とにかく安く済ませようと(笑)。

――東京での暮らしが嫌になったわけではない?

すず:マッサージ店を頑張って続けていた成果でリピーターのお客様も多くつきましたし、仕事を辞めるイメージはなかったです。だけど、屋久島で暮らすほうが安心感があるんじゃないかと。私の性格が繊細ということもあるのですが、東京だと街を歩いているときに「人にぶつかるんじゃないか」「気をつけて歩かなきゃいけない」と常に考えてしまっていて…。

 満員電車もストレスでしたし、大きな音にビックリしちゃうんです。その点、屋久島は人が少ないので呑気に歩けますし、あれこれ気にしなくていいので楽だなって。

――屋久島への移住に対するご家族の反応は?

すず:両親とは疎遠なこともあり、姉に「引っ越すよ」と伝えたぐらいです。もともと人に相談することが苦手で、何事も自分一人で決めてしまうんです。仲のいい友達にも全く相談していませんでしたし、屋久島への移住が決まった後に「来月から屋久島に住むんだ」と報告したら驚いていました。普段から事後報告が多くてビックリされることが多いです。

――長年会えていなかったお父さんと再会された動画も拝見しました。

すず:たまたま父親が私のYouTubeチャンネルを見つけたみたいで、連絡をくれたんです。まさか動画をきっかけに再会することになるとは思ってもみなかったのですが……。再会した後はたまに連絡をとっていますよ。

◆島という一つの“大きな家”に住んでいる感覚

――屋久島に移住されて約1年半とのことですが、東京との暮らしの違いがいろいろありそうですね。

すず:島暮らしをしていると、街やスーパーに行ったときに必ず知っている人に会います。連絡しなくても会えるっていう気軽さやいつもいる安心感があって、島という一つの“大きな家”に住んでいるような感覚があるんです。都会だと道を何回通っても友達には会わないですし、何かちょっと冷たい感じというか、他人に無関心っていう感じがしてしまって…それが嫌だったのかもしれません。

――ただ、屋久島は日本に数ある離島のなかでも人口が多いほうですよね?

すず:1万1千人ほどいるので、多いほうだと思います。屋久島には10数か所の集落が存在すると聞いたことがあるのですが、集落と集落の間の距離がけっこうあるんです。私がいる場所は人口が少ないのであまり人に会いません。

◆「とんでもなく大きな蚊」が入ってくることも

――今住んでいる山小屋の住み心地はいかがですか?

すず:森の中に住んでいる感じです。すぐそばに川が流れていますし、アニメでよく見るような“森の中の家”という感じです(笑)

――すずさんの暮らしぶりは、スタジオジブリの作品に出てきそうな世界観だなと思いながら動画を見ていました(笑)。ちなみに、屋久杉が生えている場所にも近いですか?

すず:屋久杉がある場所は標高が高いので、自分が住んでいる場所からは離れていますね。

――森の中なので、虫なども多そうですね。

すず:虫はすごく多いです。蚊取り線香を使ったり、虫取り網でつかまえて外に追い出したり……。とんでもなく大きな蚊が入ってきたりしますしね。あと、ヘビやヒルなんかも多いです。クマやイノシシといった襲ってくるような動物は出ない地域なのですが、普通にサルがいたりしますよ(笑)。あと、聞いたことがない鳴き声を出す鳥もたくさんいますし、特に朝は鳴き声が周囲から聞こえてきて賑やかです。