【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル中央地検は2日、高級ブランドのバッグを受け取ったとして不正請託および金品など授受の禁止に関する法律(請託禁止法)違反の疑いが持たれている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏について、「嫌疑なし」で不起訴処分とした。
検察は、金氏が牧師のチェ・ジェヨン氏から2022年6〜9月に受け取った300万ウォン(約33万円)相当のバッグや179万ウォン相当の化粧品セット、40万ウォン相当の洋酒について、尹大統領の職務との関連性や対価性がないとの結論を下した。
疑惑は昨年11月にインターネットメディア「ソウルの声」が、金氏がバッグを受け取る様子を隠しカメラで撮影した映像を公開したことで浮上した。その後、ソウルの声の代表が尹大統領夫妻を請託禁止法違反と収賄の疑いで告発し、検察は専任の捜査チームを構成して捜査を行っていた。
チェ氏は、バッグなどを渡してジェイ・キム(韓国名:金昌準=キム・チャンジュン)元米下院議員の国政諮問委員への任命や死後の国立墓地への埋葬、ケーブルチャンネル「統一TV」の放送再開などを請託したと主張した。
しかし、検察はチェ氏が個人的なコミュニケーションの枠を超えて大統領の職務に関連する請託を行ったり贈り物を提供したりしたと見なすことはできないと判断した。
これにより、チェ氏も不起訴処分となった。
検察は今年8月にも金氏を嫌疑なしとする結論を下していたが、金氏の事情聴取を検察庁舎外で行ったのは特別扱いだとの批判が出ると、李沅ソク(イ・ウォンソク)検事総長(当時)は外部の民間委員からなる「検察捜査審議委員会」に意見を求め、同委員会は満場一致で嫌疑なしとの結論を出した。
その後、チェ氏が別途申し立てて開かれた同委は、チェ氏を請託禁止法違反の罪で起訴するよう勧告した。
2回の審議で相反する判断が示され、検察は処分を巡って苦慮したが、最終的に全て嫌疑なしとすることで事件を終結させた。
検察が捜査審議委員会の勧告を受け入れなかったのは、18年の制度導入以来初めて。
ソウルの声は検察の処分を不服として抗告する方針だ。
野党はこうした処分に批判的な世論を追い風に、疑惑を政府から独立した特別検察官に捜査させる法案の成立へ拍車をかけると予想される。政府は先日、同法案の再議(審議やり直し)要求案を閣議決定し、尹大統領はこの日、拒否権を行使して国会に再議を求めた。
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