名店が監修したという厳選素材を使用しそのブランドを冠していることもあり、今回は240円(税込)258円(税込)で販売されている。今後もおにぎりーブームの乗っかり、低価格・中価格・高価格の3つの価格帯で商品力と販売力を強化していく計画とのことだ。

◆会社員のランチも様々

 住宅ローンや子供の教育費用などの負担が大きい会社員の懐事情ではランチで外食ができない人が多い。充実した社員食堂がある大企業ならいいが、日本の会社の99.7%は中小企業であり、社員食堂のない会社が大半だ。

 仕事中のランチも外食・中食・内食の奪い合いだ。以前なら、弁当を買いに行く人は、割高と分かりながら、近くのコンビ二で買っていたが、今は時間を確保して、食品スーパーなどで安い弁当購入にシフトしているようだ。

 最近は、冷凍食品のワンプレートも、コスパとタイパの良さから人気であり、市場規模も約100億円規模に急伸している。大概の職場に電子レンジが備わっているから、従来の手作り弁当に代わって持っていくようだ。

 ご飯とおかずがセットになっており価格は400円程度で栄養面も考えられており、健康食としても最適らしい。一度の過熱で済むから手間がかからず器付きだから、片付けも楽で簡便性の高さから、奥さんに喜ばれており、ますます売れ行きが好調のようだ。

 共稼ぎ世帯で毎日、弁当を持参している人は、おかずの中身は50%が冷凍食品、50%は前夜の残り物を詰めていると聞く。今は米が高いからもち米を入れて膨らませるなど、家庭内で原価計算をしているのはさすがだ。そうやって平日は節約し、週末は外食に出かけるなど消費のメリハリをつけているようだ。

◆ランチ実態調査では

 ランチ実態調査によると、平日のランチの内容は、「自炊、または家族等が作った食事」が31.1%で4年連続の1位。コロナ禍で2年連続で増加した後、2年連続で減少となった。

 ついで「小売店や飲食店で購入した食事」が20.4%、「自分、または家族等が作った弁当」が19.2%と続く。「社食、学食」は8.5%で、2年連続の増加となった。

 平日のランチの形態別の予算は、全体平均は452円で過去最高額。最も高かったのは「出前、デリバリー」で平均1,368円、ついで「外食店内での食事」が平均1,243 円となり、ともに4年連続で増額。最も安い「自炊、または家族等が作った食事・弁当」は、平均392円と結果だ(ホットペッパーグルメ外食総研より)。

◆各ファミレスの日替りランチの価格が物価高を反映している

 大概の店が日替わりランチを導入している。日替わりに集中させることでオペレーションの単純化、ディナー帯で発生した余剰食材の有効活用、客のメニュー選定を悩ませないなどのメリットがある。

 さすがにこの物価高騰の中、手軽に行けるファミレスのランチセットの価格も上がってきている。サイゼリヤ500円(税込、スパ・ドリアランチ)と600円(税込、ハンバーグ)、和食さと878円(税込)、ココス759円(税込)、デニーズ792円(税込)、ロイヤルホスト1,023円(税込)などとなっている。

 ちなみに、マクドナルドは昼マックの最低価格は500円税込〜、牛丼御三家のすき家は580円税込、吉野家は598円税込、松屋530円税込、などが定番ランチセットの最低価格だ。チェーン店の定食のボリュームゾーンは税込750円〜950円であり、町の個人飲食店もその価格帯が圧倒的に多い。

◆ワンコインランチは一部を除いて“昔話”に

 何もかもが値上がりする中で、外食に行ってワンコイン(500円)でランチを食べるのは無理になってきた。

 ファミレスチェーンでワンコインで提供しているのは、先述のサイゼリヤと、ジョイフル(500円税込)くらいだろう。以前は、低価格業態の代表だったガストもワンコイン内で日替わりランチを販売していたが、今は約700円税込(3段階・地域価格制)まで値上がりしている。

 今の外食店を見渡すと、価格は高めでも顧客が価値を認めた話題の店には行列ができるが、物価高の煽りを受けて単なる値上げをした店は閑散としているなど、二極化しているのがより明確になってきている。

 みんなが値上げするから一緒に値上げする店は生き残りが厳しそうだ。自店の顧客提供価値(バリュープロポジション)は何かを明確に訴求し、お客さんの吸引力を高める努力をしなければならない。<文/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan