6−0で大勝したミャンマー戦から一夜明けた9月28日。U-20アジアカップ予選(U-20ワールドカップの1次予選)を戦っているU-19日本代表は首都のビシュケク郊外で、29日のキルギス戦に向けて調整を行なった。
過密日程を考慮してオフにする可能性もあったなかで、チームはグラウンドで汗を流すことを決断。その意図を船越優蔵監督はこう話す。
「コーチとして参加した前回のアジアカップ予選の反省があった。短い期間しかないなかで、(オフを挟んで)サッカーから選手を切り離してしまい、最終的に後悔したんです。ちょっとしんどいかもしれないけど、『俺たちは絶対にこの期間を集中するんだ』というところで、やろうということになった」
疲労度が高いと見られるMF西原源樹(清水)、DF市原吏音(大宮)を除く、21名の選手がトレーニングに参加。ミャンマー戦の先発メンバーはリカバリーを行ない、出場機会がなかったDF郄橋仁胡(C大阪)らはシュート練習などに励んだ。
各組1位と2位の上位5チームが来年2月の本大会に出場できる今予選において、選手たちは来年5月のU-20W杯を見据えて高い意識でプレーしているのも、スタッフによるマネジメントの賜物だろう。誰もが現状に満足していない。昨秋のU-17W杯で活躍したMF中島洋太朗(広島)も例に漏れず、自身の出来に納得していない選手のひとりだ。
19日のACL2で同じくU-19日本代表に選出されていたFW井上愛簾とともにフル出場を果たし、翌日にはU-20アジア杯予選の開催地であるキルギスに向かった中島。コンディション調整が難しいなかで、トルクメニスタンとの初戦(2−0)は86分からピッチに立ち、ミャンマーとの第2戦も後半開始からの出場となった。
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決して長いとは言えない出場時間において、中島はミャンマー戦のパフォーマンスに不満があるという。
「昨日のミャンマー戦は良い形があまり作れず、個人的にも納得できない試合だった。守りを固めてきた相手に対して、自分の特長であるアイデアを出してもっと仕事ができればいいなと思う」
4−3−3のアンカーで後半開始から出番を得たものの、中島はボールを散らす役割に終始し、決定的な仕事ができなかった。途中からポジションを1列前に上げたが、ここでもゴールを脅かすようなラストパスを出せず、相手の脅威になるミドルシュートも打てていない。
5バックや6バックで強固な守備ブロックを作ってくる相手に対し、どうやって切り崩していくのか。スペースと時間が限られたなかで、自身の良さであるアイデアに富んだプレーができなかったのは反省点だ。
残された試合は最終戦のみ。勝てば1位通過が決まる大一番で自身の価値を示すべく、ゴールに絡む活躍を見せたいと誓う。
「2年前のU-17アジアカップ予選と比べ、自分の成長した姿を見せたいし、チャレンジできる場でもある」
淡々と言葉を紡いだ中島だが、うちに秘める闘志は並々ならぬものがある。そう言い切ったロス五輪世代の主軸候補は、今予選のラストマッチに全精力を注ぐ。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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