[画像] 阪神・村上号泣「自分のせい」延長十二回サヨナラ負け 大山悪送球に、岡田監督「ミスしたら負けるということや」 巨人M1

 「広島3−2阪神」(27日、マツダスタジアム)

 崖っぷちに追い込まれた。阪神は延長十二回、救援の村上頌樹投手(26)がバックのミスからピンチを招き、サヨナラ打を浴びて痛恨の敗戦。試合後、右腕は号泣し、岡田彰布監督(66)は「ミスしたら負けるということや」と話した。首位・巨人は中日に勝ち、4年ぶりのリーグ優勝へマジック1。阪神の球団史上初のリーグ連覇は風前のともしびとなった。

 右翼の頭上を白球が無情にも越えていく。延長十二回の死闘で力尽き、敵地で痛恨のサヨナラ負けを喫した。首位巨人が勝ったため、優勝マジックは「1」となり、球団史上初の連覇は風前の灯(ともしび)となった。敗戦後、岡田監督は無念の表情で振り返った。

 「村上はあれやな。エラーでやられたな。ほんまにな。まあ、ああいうミスしたら負けるいうことや。普通にそら三者凡退で終わってるよ。大事なところでエラー出るもんな、エラーがみんな得点につながるやろ。開幕の京セラからやんか、村上は、ずーっとエラーに泣いたよな」

 引き分け目前だったが、最後の最後に落とし穴が待っていた。この日から中継ぎ待機としていた村上を延長十一回からマウンドに送り、イニングまたぎとなった十二回だった。1死から野間の一ゴロを大山が悪送球。走者を二塁に背負うと、代打・末包にサヨナラ二塁打を浴びた。

 「今日は自分のせいで負けた。ヒットは何でもヒットなんで。高めに浮いた分、(右翼を)越えたんだと思う」

 チームとともにファンへのあいさつに向かった村上は膝に手を突いてうなだれた。責任を背負い込んで号泣。岩崎や桐敷がなぐさめたが、帽子を目深にかぶり、顔を覆って悔しさをかみしめた。失策の大山は「すみませんでした。本当に申し訳ない」と頭を下げ、右翼を守った島田は「捕りたかったのが一番ですけど、ポジショニング(前進守備)にもよるので何とも言えない」と語った。「そら悔しいよ。そら、悔し涙って。負けたんやから、引き分けでもええわけやから、そんなん」。岡田監督は右腕の気持ちをおもんぱかった。

 追い込まれた打線は反発力を発揮した。2点ビハインドの七回には先頭の佐藤輝が本塁打を放ち、1点差に迫った。八回には2死二塁から森下が三遊間を破る同点適時打。土壇場で試合を振り出しに戻した。だが、九回無死一、三塁の絶好機を生かせず、最後は2死満塁から近本が空振り三振に倒れた。延長十一回も2死一、二塁で梅野が見逃し三振。岡田監督が「負けるときはそんなもんやん。ずっとやんか、1年間。ひっくり返しとかなアカンわな。チャンスでな」と振り返ったように終盤での逸機が“致命傷”となった。

 28日にヤクルトに勝っても、巨人が勝利した時点で終戦となる。開幕から139試合目。連覇を目指してきた岡田阪神だが、ついに後がなくなった。