[画像] 永久に利用できないデジタルコンテンツには「購入」ボタンを付けてはならない法律がカリフォルニア州で制定される



デジタルコンテンツそのものではなく、コンテンツへのアクセス権を与える形態でのオンライン販売に対してそのことを明示するよう義務付け、永続的にオフラインで利用する方法が提供されていないコンテンツの販売に「買う」「購入」などの用語を使用することを禁止する法案が、カリフォルニア州で制定され、2025年から施行されることが決まりました。

AB 2426: Consumer protection: false advertising: digital goods. | Digital Democracy

https://digitaldemocracy.calmatters.org/bills/ca_202320240ab2426

Assemblymember Irwin Urges Governor to Sign Legislation Increasing Transparency Surrounding Disappearing Digital Media | Assemblymember Jacqui Irwin Representing the 42nd California Assembly District

https://a42.asmdc.org/press-releases/20240916-assemblymember-irwin-urges-governor-sign-legislation-increasing

California’s new law forces digital stores to admit you’re just licensing content, not buying it - The Verge

https://www.theverge.com/2024/9/26/24254922/california-digital-purchase-disclosure-law-ab-2426

インターネットで映画や音楽、ゲームなどのデジタルコンテンツを買って楽しむことが一般的になりましたが、多くの場合「購入」されたコンテンツは実際にはユーザーによって所有されておらず、単にコンテンツを一時的に利用するためのライセンスが付与されているに過ぎません。

例えば、ゲーム企業・Ubisoftは2024年4月に、サービスが終了したオンライン専用ゲーム「THE CREW」に関するライセンスをプレイヤーのアカウントから抹消して批判を浴びました。また、ソニーは2023年にPlayStation Storeのライブラリから購入済みのディスカバリー番組1300本を削除すると発表し、後に撤回しています。

こうした「消えるコンテンツ」の問題は新しいものではなく、2021年には「App StoreやiTuneでの支払いが『購入』と表記されているのは欺まん的であり実態は『レンタル』である」とする議論が集団訴訟に発展しました。

Appleが集団訴訟に直面、App StoreやiTuneのコンテンツに「購入」と表示しているのは欺まん的なのか? - GIGAZINE



カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2024年9月24日に、新しい消費者保護法である「AB 2426」に署名しました。

法案を主導したジャッキー・アーウィン議員はこの法律について、「小売業者が物理的なメディアの販売からの転換を続ける中、デジタルメディアの購入に関する消費者保護の必要性がますます重要になっています。AB 2426は、デジタルメディアの販売業者が消費者に『購入したからには自分の所有物だ』と誤認させる虚偽の欺まん的な広告が過去のものになることを保証する法律です」と説明しています。



2025年から発効するこの法律では、デジタルメディアの使用許可を与えるだけの形態での販売契約を消費者と結ぶ場合はそれを明示することが義務付けられており、料金の支払いを「買う」もしくは「購入」と表現したり、コンテンツに対する無制限の所有権を与えるかのように誤解を招く表現をしたりすることが禁じられます。

また、ライセンスが取り消される可能性がある場合はそのことを消費者に伝えるとともに、取り消される条件を完全に記載したリストも提示する必要があり、販売者がこれに違反した場合は虚偽広告で罰則を受けることになります。

「消えるデジタルコンテンツ問題」に詳しいミシガン大学の法学教授のアーロン・ペルザノフスキー氏は「世界中の消費者は、デジタルな映画、音楽、書籍、ゲームにお金を払うときに、『購入』したはずのものが予告なく消えてしまう可能性があることを理解する必要があります。消費者のデジタル権利を保護するためにまだ重要な作業が残っていますが、AB 2426は正しい方向への重要な一歩です」と話しました。