今月のAFC U19アジア杯予選に臨むU-19日本代表では唯一の“飛び級”組。2007年早生まれのDF布施克真(日大藤沢高)は本職ではない右サイドバックを担い、国内合宿最後に行われた流通経済大とのトレーニングマッチで粘り強くアピールした。

 日大藤沢高では10番を託され、攻守の軸としてボランチを務める布施だが、この日は右SBで前半45分間の出場。「自分の長所はいろんなポジションができて、そのポジションでいいプレーができるところ。普段はボランチをしていて、この前の(U-18日本代表の)SBSカップでは左SBをやっていたけど、今回は右SBということで、どこでやっても自分の最大限の力を出せるように意識している」。その言葉どおり、粘り強いマッチアップと攻守への関わりで5-0と圧倒した前半の戦いぶりを支えた。

 右SB特有のポジショニングは練習を通じてトライ中。それでもボランチで培ったボールに顔を出すスキルは本職外でも活かされ、派手なオーバーラップを見せなくても周囲を助ける働きが際立っていた。また174cmという上背以上に迫力がある対人守備も出色の出来。「自分の長所は身体の強さだったり、どこでも顔を出せる運動量豊富なところ。気負うことはないし、チャレンジャーの気持ちで試合ができていたので、思い切ったプレーや身体の強さを出せたと思う」と手応えを口にした。

 U-19日本代表は今回が初の参加だが、昨年11月にはU-17W杯で世界舞台を経験。その時はフィールドプレーヤーで唯一出場機会がなく、悔しい思いも抱いたが、すでに海外挑戦を果たしたFW高岡伶颯(サウサンプトン)、MF吉永夢希(ゲンク)、DF小杉啓太(ユールゴーデン)らと過ごした日々を成長意欲につなげてきた。

「U-17W杯ではフィールドプレーヤーで自分だけ出場できなかった部分では悔しさが残る部分はあった一方で、あのメンバーに入ってできたのはいい経験ができたとも思っている。ただ、このままじゃいけないなと思えた大会だった。自チームに帰ってからも自分が一番戦うところ、自分が一番走るところはずっと意識してやり続けてきた。それがこの一つ上の代表に選ばれたきっかけなのかなと思うので、ずっと続けていきたいと思う」

 そう話す布施は「間違いなく自分が一番チャレンジしないといけない選手だし、実力的には一番下のほうにいる選手だと思う」という謙虚な自己認識を胸に、ひたむきな気持ちで決戦の地、キルギスに向かう構えだ。

 飛び級招集のため2年後のAFC U19アジア杯予選、3年後のU-20W杯の出場資格も持つ世代だが、先のことは頭にない。「次の大会がどうとか考える前にこの大会でとにかく自分のプレーを出して爪痕を残していかないと次の大会にも呼ばれない。今日の試合でも、これからのキルギスのトレーニングでも、大会が始まってからも、自分が出せるプレーを全部出して爪痕を残していきたい」。今大会は中1日の3連戦。どんな状況でも、どのポジションでも、野心を燃やす17歳は準備万端だ。

(取材・文 竹内達也)