◆今日はどう攻めよう

 1品目と1杯目を勢いでいってしまったが、ここからあらためて、じっくりかっぱ寿司と向き合っていこう。なにしろ選択肢は豊富だ。なんたって、110円商品が100種類以上もある。メニューを眺めているだけでうきうきしてくる。

 そのなかには「こぼれかにカマコーンマヨ鬼ペッパー包み」なんていう、開発者の「とにかく要素をマシマシに!」という想いが迫ってくるような一品もあって、これは受け止めなければいけないような気がする。

 さらに酒飲みにとって嬉しいポイントはいくらでもある。たとえば「シャリハーフ」が選べる寿司がかなり豊富にあること。僕は回転寿司店のシャリハーフ寿司における米部分は、もはや“刺身の薬味”であるという考えを持っている。つまり、リーズナブルに軽くつまめる刺身が選び放題というわけだ。サイドメニューもいい。「刺身盛り合わせ」や「季節の天ぷら盛り合わせ」なんて、いいに決まってる。味のバリエーションがかなり幅広いポテトやからあげ類であえて飲むというのも楽しそうだ。

 さて、ここらでそろそろ今日の方針を決めておかないと収集がつかなくなりそうだ。まず、ビールはもう1杯、必ず頼む。そこに「ちょこっとなす天盛り」(198円)を合わせよう。その後、酒を日本酒に、つまみを寿司に切り替えて、寿司飲みに移行しよう。寿司は当然“酒のつまみ度”を優先しながら選ぶ。近年の僕は食が細くなり、回転寿司なら4、5皿がちょうどいいくらい。ゆえにその制限のなかでどれだけ満足度を高められるかが重要になる。まぁ、飲みながらじっくり考えよう。その時間こそが、回転寿司飲みの醍醐味であるわけだし。

◆天ぷら屋なみのクオリティ

 お、ビールとなす天がやってきたぞ。醤油は「特選」「減塩」「だし」と3種類あって、ここはだし醤油かな。

 揚げたてのなすをぱくりとほおばると、ざくざくっとした衣の下から、あっつあつとろっとろのなす。心のなかで思わず「天ぷら屋!」と叫ぶ。なすの下にはおろししょうがが隠れていて、それがまたいい。ビールを飲む勢いがさらに加速してゆく。

 ちなみに、タブレットに表示された現時点での合計金額が1386円。それでもじゅうぶんすぎるほど安いが、僕は生ビール半額の権利を得ているので、1杯ぶんは無料で飲めてしまっているわけだ。つまり、正確な合計額は847円。って、計算してみたら、引くほど安いな……。

◆作法などない自由な時間

 なすとビールの2セット目を堪能し、そろそろ日本酒&寿司タイム。「松竹梅 豪快 辛口(冷酒)」(539円)を。寿司はさんざん悩んだ末、「上煮穴子一本」(374円)、「かにみそマヨ」(110円)、「こぼれかにカマコーンマヨ鬼ペッパー包み」(110円)の3種類を頼んでみることにした。すぐに、レーンで目の前に到着しだす寿司たち。

 メニューに「直火炙り」と書かれていた上煮穴子、目の前に置くだけでふわりと香ばしい。当然これを、ぱくっとひと口ではいかない。穴子の身をはしから少しずつ切り取っては、くいっと酒のつまみにする。甘めのたれが染みたふわとろの身が、めちゃくちゃうまいな。

 かにみそマヨも、作戦としては同様だ。本当は人に話すのもはばかられることだが、僕は回転寿司でかにみそ軍艦を頼み、これまたひと口ではいかず、箸でちびちびとかにみそだけをつまみとりながら酒を飲むのが好きなのだ。かっぱ寿司のかにみそ軍艦は、みそがたっぷりで嬉しい。最後に食べることになる、うっすらかにみそ味の残ったマヨネーズ軍艦も悪くない。けれどもこのことは、絶対に口外はしてほしくないし、はしたないので決してまねもしないでほしい。これは、自分が楽しんだかっぱ寿司飲みの記録を正直にお伝えしておこうという、僕なりの誠実さなのだ。