[画像] K-POP日本公演「ガラガラ」の衝撃 最高3万円「高額チケット」にファンも反発

日本初上陸の「TMA」

「世界を席巻しているK-POP」とはよく聞くメディアのフレーズだが、日本で開催されたある大規模なK-POPイベントの入りが悪く、観客席がガラガラだったという。これは9月7日と8日の両日、京セラドーム大阪で開催されたK-POPの授賞式音楽祭「2024 THE FACT MUSIC AWARDS(TMA)」での出来事。

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 SNSではガラガラの観客席の様子を撮影した写真が次々とアップされ衝撃の実態が明るみに。「TMA」は主催の韓国ニュースサイト「THE FACT」の創刊10周年を記念して、日本に初上陸したというが、“事実”はあまりに悲惨だった。K-POP事情に詳しい音楽ライターがこう話す。

NewJeans

「今回の授賞式は初日がWOOAH、NiziU、Kep1er、n.SSign、EVNNE、TWS、NEXZというやや物足りないラインナップだったせいか、かなり空席が目立ちました。2日目はITZY、JO1、aespa、NewJeans、&TEAM、xikers、KISS OF LIFE、NCT WISH、UNIS。大物が含まれるこちらは8割ほど埋まりましたが、それでも京セラドーム史上、まれにみる光景。理由として取りざたされているのが高額なチケット代と、身の丈に合わない大きすぎる会場です」

 1日券(税込)はそれぞれステージ前のVVIP席2万9500円、VIP席2万5500円、アリーナ席とスタンドR席1万9500円、A席1万7500円、B席1万2900円。最大5万5000人収容の会場だけに、ステージに近くなるほどチケット代が上がる。

「8月に東京ドームで開催された4人組ガールズグループ・aespaのコンサートチケット代(税込)は全席指定1万2800円、決済事務手数料950円でした。これに比べTMAはステージに近くなるほどチケット代を吊り上げるという儲け主義があまりに露骨です。推しのアイドルを間近で見たいファン心理に付け込んだせいか、かえって多くのファンからソッポを向かれたようです。チケットが全然売れなかったため1次、2次のチケット抽選の後になって急きょC席を抽選で無料提供するという慌てぶりでした」(前出の音楽ライター)

 チケット代の高額設定も強欲だが、何より問題なのは世界最大のK-POP消費国である日本で開催すれば、何でも儲かるという安易な考え方だという。単独コンサートなら2、3時間たっぷりと“推し”だけのパフォーマンスに没頭できるが、出演者がそれぞれ3、4曲程度歌唱して引っ込む合同イベントは、ファンにとって相当物足りないはず。

 しかも、目玉のNewJeansは6月に東京ドームで、aespaも7月に日本ツアーで福岡、愛知、埼玉、大阪を回り8月に東京ドーム単独公演を開催している。熱心なファンはすでにそちらに参戦済みのため、わざわざ日本初開催の慣れない音楽祭に行くのはためらわれて当然だ。8月10、11日に埼玉のベルーナドームで開催を予定していた「DREAM CONCERT WORLD IN JAPAN 2024」が猛暑を理由に突如延期されたが、こちらもチケットの売れ行き不振が噂されている。

歌謡番組の日本輸出

 ただ、日本で開催されているK-POP公演のすべてがガラガラというわけではない。K-POPが好きな中年男性ファンは「6月に開催されたNewJeans、7月のTWICE、8月のaespaのコンサートに参戦しました。東京ドーム、味の素スタジアムともに客席は満席でしたよ。NewJeansの公演はステージ真横のスタンド席を空席にしていましたが、これは見切れが出ないギリギリのラインをもうけた主催者側の配慮でしょう」と振り返る。

 TMAが大失敗に終わったというのに、今度は韓国の歌謡番組の日本輸出が相次ぐ。10月12、13日にさいたまスーパーアリーナで「SBS INKIGAYO(人気歌謡) LIVE in TOKYO」、12月14、15日にはみずほPayPayドーム福岡で「2024 MUSIC BANK GLOBAL FESTIVAL in JAPAN」が開催される。前者は韓国地上波のSBS、後者は同じくKBSの看板歌謡番組だ。日本でいうテレビ朝日「ミュージックステーション」やTBS「CDTVライブ!ライブ!」の特別イベントがソウルや台北で開催される、といったイメージか。それにしても、なぜ雪崩のように続々と日本に押し寄せるのか。

 韓国の芸能プロ関係者がこうため息をつく。

「ライバル社がやり始めたら上層部から『わが社はどうなっているんだ!』と叱責されるのを恐れて先手を打ち、まともな調査もしないで日本での展開を『行けば儲かる』と強引に立案するのが、韓国の企業風土です。アーティスト側もテレビ局や有力メディア主催のイベントには、万が一不祥事を起こした際に、報道で報復されるのを恐れて出演をのんでしまいます。昨年、ある売り出し中の若手アーティストが単独ライブを開催しましたが、案の定、チケットは7割ほどしか売れず、残りは業界関係者に無料で配っていました。チャレンジ精神が旺盛なのはよいのですが、リスクを指摘しても聞き入れないし綿密さが足りないのが実情です」

 こうした意欲は無謀と隣り合わせだ。チケットがさばけず結局、中止に追い込まれる事態も予想されるからだ。音楽ファンの間では「日本の音楽市場をなめている」といった声も出ており、日本進出の乱発は反感を招きかねない。韓国国内のK-POP産業はアイドルグループの乱立で飽和状態にある。そのせいもあって日本市場に活路を見出したいところなのだろうが、実際はそう甘くはないようだ。

デイリー新潮編集部