[J1第30節]横浜 1−2 京都/9月13日/ニッパツ三ツ沢球技場
「悔しいですけど、マリノスらしさは詰まっていたと思います」
1−2で敗れたJ1第30節の京都サンガF.C.戦のあと、横浜F・マリノスの主将・喜田拓也はそう振り返った。
横浜は開始9分に西村拓真が危険なファウルで1発レッド。序盤から数的不利になったなか、エウベルのドリブル突破からカウンターを仕掛けたり、22分にはエドゥアルドのスルーパスに反応したヤン・マテウスがシュートまで持ち込むなど、ひとり少ない状況を感じさせない戦いぶりを見せた。
23分に先制点を献上したが、38分にCKから相手のオウンゴールで同点に追いつく。1−1で迎えた53分に勝ち越し点を奪われ、その後はボールを保持される時間が続いたが、それでもゴール前を固める守備的な戦い方ではなく、最後まで攻撃的な“自分たちのサッカー”を貫いた。
試合後、喜田は「当然ひとり少ないので、難しい試合でした」と語り、「こういう時に勝って、大丈夫って言えるチームでありたいし、仲間でありたい。正直、どっちに転んでもおかしくないゲームだったと思うので勝ちたかったし、そういう姿勢がマリノスなので、結果で証明しきれなかったのが悔しい」と唇を噛んだ。
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試合には負けてしまったが、トリコロールのキャプテンのリーダーシップには光るものがあった。
前半は西村の退場に加え、その後に両チーム合わせてイエローカード3枚が提示される荒れ模様のなか、喜田は声を張り上げながら手を叩いて、何度もチームメイトを鼓舞し続けた。
一方で後半は、ハーフタイムを挟んだこともあるだろうが落ち着いた展開に。そうしたなかで喜田は、冷静に状況を判断しながら、ピッチに立つ全員とコミュニケーションを取って、チームがバラバラにならないようにまとめていた。
筆者が感じたことを本人に訊くと、次のように答えてくれた。
「まずは自分たちがどのようにゲームを運んでいくかっていうところで、チームメイトをコントロールすることもそうですし、それぞれのパーソナリティに合わせたアプローチをすることで、チームを前向きに持っていきたいと思っていたし、それが自分の仕事。そこを上手くコントロールできれば、必ずチャンスが来るって踏んでいた。現に仕留められるチャンスもあった」
横浜は86分に与えたCKからピンチを迎えるも、背番号8がゴールラインぎりぎりのところでなんとか足を伸ばしてクリアした。
「あのシーンに関しては、頭の冷静さはちゃんと保ちながら、(ボールが)来そうだなっていうところにカバーに入ることを意識していました。メンタリティとしては、あそこで失点するとノーチャンスに近くなってしまうので、“まだ死んでない”っていうのを見せたかった」
おそらくそのクリアの影響だろうか、その後は足を気にする仕草を見せながらも最後まで走り続け、諦めない姿勢も示した。
「足を痛めましたけど、別に自分の身体がどうなろうと、ピッチに立っている以上は関係ない。自分がこの先プレーできなくなっても、1点を防げるなら僕は防ぐ。それだけです」
やはり横浜に喜田の存在は不可欠。そう改めて感じた試合だった。
取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)
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