この「古くからのマニュファクチュール」という点が認知されていないというだけでも、ピアジェの穴場感は満載だといえます。

◆かつてのノーチラスも評価は厳しかった

 ただ、ピアジェの腕時計はシリーズが多々ある点と、それが時期によって変わるというマイナスポイントが存在。

 時計に詳しい人でも「どれがどういったキャラクター」か分かりづらいことだと思います。

 そのため、単にピアジェといっても「どれを買うか」、その見極めるのは難しいのですが、最も簡単に判断する方法は中古相場が安価となっているモノに着目するということでしょう。

 先のように、ピアジェは古くからのマニュファクチュールであるため、ムーブメントは自社製。なおかつ、ハイブランドであるため、かつての定価も高値です。

 しかしながら、そういった要素を持つにも関わらず、現在50万円程度といった価格帯で購入できるモデルが多々あります。

 同じ時期、新品実勢価格が約35万円だったロレックスは、現在160万円台。その一方、新品実勢価格が50万円程度だったピアジェが、現在40万円程度で手に入る、などという事例は珍しくありません。

 そして、そういった状況がみられるピアジェを見て「グッと来る」というモデルがあったならば、その魅力に気づく人が増え、いつかは評価されるモデルになる可能性があるといえます。

 この記事を見て「ピアジェ?」と疑問に思った人は多々いると思います。しかし、かつてのノーチラスやゴールデンエリプスも、同じように思われていたのです。

 ですからこういったトレンド変化が腕時計の面白いところ。ぜひ、隠れた魅力を持つ腕時計をいち早く発掘してみてはいかがでしょうか。

<文/斉藤 由貴生>

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある