例えばですが、カルティエは、自社製ムーブメント搭載モデルを一般化したのは、2010年頃からでありますが、今、中古市場で高い評価となっているのは、「他社製ムーブメント」を搭載したモデルなのです。

 カルティエは、腕時計専門ブランドではなく、いわゆる「宝飾ブランド」と分類できますが、カルティエの腕時計は昔から「高級腕時計」として認知。むしろ、腕時計を最初につくったメーカーともいわれているほどの老舗であります。

 ですから市場では、「カルティエの自社製ムーブメント搭載モデル」よりも、「他社製ムーブメント搭載」のモデル(往年の名作)が評価されているのです。

 近頃目立って評価されているのは、1990年代後半頃に現行品だったモデルですが、例えば、グレー文字盤のサントスガルベ(W20067D6)は、2020年頃まで中古相場が30万円を切っていたのにもかかわらず、値上がりした結果、現在では130万円以上といった相場に変貌しているのです。

 サントスガルベには、現行モデルといえる「サントスドゥカルティエ」がありますが、自社製ムーブメントを搭載する現行モデルの中古相場は約85万円。他社製ムーブメントを搭載する昔のモデルのほうがはるかに高値となっているのです。

◆次に“欲しくなる”を見極める

 その時点で多くの人に憧れられている腕時計を自分が持っていると仮定して、次に「欲しい」となりそうなキャラクターを探します。

 私がかつて、ノーチラスを買った際の心理は以下の通り。

・エクスプローラーがプレミアム価格状態
・次のエクスプローラー的モデルを当てれば「安く買える」かも
・エクスプローラーの上位互換といえるのがパテックフィリップアクアノート
・アクアノートを買ったらノーチラスの良さが分かった

 といった感じです。
 
 こういった視点を持つと、現時点では、誰もが「なんでそんな変な時計買うの?」となるようなモデルでも、数年後には手のひら返したように「多くの人が評価する」というモデルを当てる可能性が高くなります。

 私は、2017年、ゴールデンエリプスを買ったのですが、当時の中古相場は「最も安価なパテックフィリップ」でした。

 そんなゴールデンエリプスは今や、「非・スポーツ系で最も高値」といったぐらいの価格帯に変化。例えば、私が所有していた3738/100J-012は、先日370万円台ですぐに売り切れとなっていましたが、その価格は、同世代のモデルと比較して「相対的に高値」であります。

 私が買った2017年時点では、自動巻ムーブメントを搭載するパテックフィリップとしては、安価な部類、もしくは最も安価とすらいえたわけですから、地位が変化したといえるのです。

 ゴールデンエリプスは、現時点でもノーチラスほど有名な存在ではありませんが、2017年と今とでは、「地位が全く変わっている」という出世をしたのです。

◆次に来る腕時計は?

1.古くから「高級腕時計」として認知されているブランド
2.昔からマニュファクチュールである
3.次に欲しくなりそう(まだ多くの人が買っていない)

 以上、3つのポイントを加味すると、次に来る腕時計は、どういったものになるか。

 1と2を満たしながらも、まだ誰にも注目されていない。そんなブランドはあるかというと、いくつもあります。

 そして、そういった要件を満たすブランドの中でも、最も有力なのがピアジェであると私は考えます。

 ピアジェは、多くの人から「宝石ブランド」と認知されているようで、私がピアジェが良いというと、「宝石ブランドでしょ?」とか「宝石ギラギラ時計」と言われます。しかし、実はピアジェは、古くからのマニュファクチュールなのです。