◆安全運転がかえって危険に

一方、安全運転が裏目に出てしまうこともある。

シホさん(仮名・20代)は「彼氏と車で初めて遠出をした時、安全運転過ぎて逆に冷めてしまったんです」と話す。

その日は、車で2時間ほどの場所に彼の運転で向かっていた。普段から彼の車に乗せてもらうことはあったが、長距離ドライブは初めてだったので、シホさんも楽しみにしていたという。

ワクワクしながら出発し、意気揚々と車を走らせる。だが、このドライブでシホさんは彼の“独特の運転ルール”を知ることになる。

◆そんなに「一時停止」する場所ある?

楽しく車を走らせていたが、次第に異変を感じはじめたシホさん。

「そんなに入り組んだ道じゃないのに、やたらと停止する回数が多かったんです」

そんなに信号あるのかな?と思い顔を上げるが、それらしきものは見えないし、近くに人がいる気配もない。にもかかわらず、何もない場所で相変わらず車は一時停止を続ける。しかも、なかなかの急ブレーキを踏むときもあった。

彼は一体、何とぶつかりそうになっているのか。

◆本末転倒な彼氏のマイルール

さすがに疑問に思い「なんでさっきからブレーキを踏んでるの?」と聞いてみたところ、返ってきた答えは予想外のものだった。

「だって、横断歩道があるでしょ」

彼は人がいようがいまいが、絶対に横断歩道の手前で一時停止をしていたのだ。歩行者が明らかにいないけど止まるのは、「横断歩道の手前は必ず止まらなければいけない」という彼なりのマイルールだった。

万が一に備えるのは素晴らしいことだが、どちらかというと歩行者に気をつけているというより、横断歩道があるかないかを気にする様子だったらしい。だから、ギリギリで急ブレーキを踏んでしまったり、道路ばかりに気をとられて、本当に渡りたい人がいるときに止まれなかったりしていたという。

「安全第一なのはいいんですけど、誰もいないのにこまめにブレーキを踏まれると気になります……。それに、歩行者ではなく横断歩道ばかり見ているし、何のためのマイルールなの?って思ってしまいました」

交通ルールはあくまで、ドライバーや歩行者の安全のためにあるということを、彼が気づいてくれるのを願う。

◆スマートな運転で、楽しいドライブデート

お互いの関係を深めるチャンスであるドライブデートで、誤った方向にアピールしてしまい、逆に冷められる……なんてことは避けたい。

いいところを見せようと意気込んだり、カッコつけてしまう気持ちも分かるが、気になるお相手とのドライブではスマートでスタンダードな運転を心掛けるのが得策だろう。

<取材・文/帆浦チリ>

【帆浦チリ】
切れ痔と戦うアラサー。料理とおしゃべりが好きで、初対面の人から高確率で「よくしゃべるからB型かと思った」と言われる機関銃A型。X(旧Twitter:@chi2608)で料理や暮らしのことをつぶやいたり、noteで日常であったことを面白可笑しく文章にしている。