◆有人サポートを急拡大することで「マシンが壊れたまま」「不衛生」の不満を払拭

 これだけ安くて、あれこれできる。いいこと尽くめな気がしますが、しかし気になるのはネットやSNSでの評判。「機具が壊れたまま、修理されるまで時間がかかる」「掃除が十分にされていない、不衛生」といった、主に店舗の保守管理についての不満が目立ちます。

 その点について率直に質問すると、チョコザップ側もやはり課題と考えているよう。「お客様の満足度と店舗の質の向上は最優先課題と考えていまして、今年度の大きなテーマになります」として、すでに動き出しているとのことです。

 具体的には「ちょこっとサポート」というサービスを24年春から導入。これまで「無人ジム」を個性としてきたチョコザップですが、店舗のサポートをするライザップのノウハウを習得したアドバイザーを500人体制へと増員するとのことです。

「アドバイザーが定期的に巡回して、お客様にとってより快適な環境をつくりたいと考えています。たとえばマシーンの使い方がわからないとか、どういう食事がいいとか、素朴な疑問にもお答えできるようにサポートしたり。また、課題になっているマシーンのメンテナンスであるとか、店舗の清掃面についても、人が入ることによって、よりスピーディな対応ができるようになります」

◆元々の掃除などの対応は会員や業者が行っていたそうだが…

 元々、チョコザップには「フレンドリー会員」という制度があるそうです。認定を受けた会員が、店舗の清掃、備品や消耗品の補充や交換などを担い、活動に応じて割引が受けられるという仕組み。清掃に関してはこれまでも、こうしたフレンドリー会員だけに頼るのではなく、業者を入れての定期的な清掃も行われていたといいますが、店舗を巡回するアドバイザーによる清掃頻度も今後はさらに増やす予定とのことです。

 巡回するアドバイザーについては、早期の課題解決のため、500名体制を目指している。といっても、人を集めるのも簡単ではありません。取材した7月下旬時点では「アドバイザーの人数はおよそ250〜300人ほど、目標に対して現時点では50〜60%ほどの達成率です」とのこと。この「ちょこっとサポート」はまだ対象外の店舗もあり、「1500店中約1000店舗で、カバー率は70%ほど」だそう。

また、ユーザーからは「サポートにつながらない、返信がない」といった声もありましたが、コンシェルジュ(コールセンター)も100人体制に増員へ。また、AIチャットサポートも導入し、「コールセンターだけに頼らない対応方法も整えている」とのこと。

「目標にはまだ達していませんが、お客様の満足度の向上が今年度の最大の課題ですから、スピード感を持って進めていますので、期待してください」

◆顧客満足度と店舗の質は向上させつつ、「月額3,278円(税込)」はキープ

 人に投資することで顧客満足度の向上を目指すチョコザップですが、とはいえ、「無人ジムというコンセプトを大きく変えるつもりはない」といいます。

「やはり『無人だからこそ行きやすい』という声も多いんですね。特に若い人は、あまり接客されたくないという方も多いです。その良さは崩さずに、人が入ることによるメリットをうまく取り入れたいと考えています。しかし人を増やす一方だとコストもかかってしまいます。現状の税込み3278円という価格をキープしつつ、お客様の満足度と店舗の質を向上できる最適なバランスを模索中です」

 チョコザップは店舗数が急拡大しているだけでなく、サービスも現在進行形で進化中ということ。「みなさんが当たり前に使うような場所に育てていきたい」と小林さん。コンビニのように、数年後には気づけば日常の一部となっているかもしれません。

(※1)使い放題はトレーニングマシンのみ。一部、24時間営業ではない店舗・休館日あり。
(※2)サービスおよび関連設備は店舗により異なり、取扱いのない店舗もあり。詳しくは公式サイトにて。

<取材・文/宇原翼>