個別株は、ちょっとハードルが上がります。どの企業に投資するかという判断の軸を持っていなくてはいけないからです。それはちょっと難しくて、決算書などのさまざまな数字を読めなくてはいけません。

 例えば、NVIDIA(エヌビディア)が伸びているから、そこに投資をする……という発想だと、ただのギャンブルでしかないのです。ただ、専門用語でセクターといって、まとまりのある業種やグループに注目して、全体的に伸びているのなら、ひとつの判断材料にはなります。いずれにしても、勉強は必要。今はオンラインで学ぶ機会はいくらでもあるので活用しましょう」

◆盲点は、家族が投資を理解しているか?

 櫻井さんは、投資詐欺の被害に遭う人が「すごく増えている」ことに警鐘を鳴らす。NISAなどをしているぶんには、そうならないはずだが、早く増やしたいという焦りから、あやしい案件に手を出してしまうという。

「特に、人生経験が豊富にあるはずの50代後半とかが多くて要注意です。私も、幼少期からお金に振り回されてきた人生送ってきているので、気持ちはすごくわかるのです。でも、その年代で、2000万円、3000万円も詐欺に遭ってお金を失ったら、そこからリカバリーするのは、とても厳しいです。なので、妙においしい話には、絶対気をつけてください。

 そしてもう1つ気をつけたいのが、家族の理解と価値観のすり合わせです」

◆夫婦でお金のことを話す機会を設ける

「今の夫は、病院の勤務医ですが、結婚した当初はお金がなさすぎて、本当にびっくりするぐらいでした。聞いてみると、むやみに出て行くお金が多かったのです。でも、何にいくら使っているのか把握しておらず、お金はいつもギリギリでした。また、投資には大反対の考えの持ち主で、再婚してしばらくは、価値観のすり合わせにも苦労しました。

 今はそんなドタバタも落ち着いて、毎月末に時間を作って、2人でお金のことについて話す機会を設けています。こうした、夫婦間で投資に対する考え方のすれ違いというのは、私の受講生さんのなかにも多いのですが、きちんと話し合うことで解決できると思います」

<取材・文/鈴木拓也>

【櫻井かすみ】
ファイナンシャル・プランナー、投資の学び舎「トウシナビ」代表。大阪府出身。投資詐欺被害、貯金ゼロ、離婚&無職、再婚直後に不妊治療でもっと貧乏に……、などドン底を経て、極度のお金恐怖症になるも、4年で1000万円まで貯めるのに成功。それから投資を本格化し、純資産は1億円に。お金の増やし方&守り方を、延べ2000人に直接指導している。SNS総フォロワー3万人以上。著書『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)がある。Instagram:@sakura_waamama

【鈴木拓也】
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki/