◆彼女はラブホでの一部始終を録音していた…!!

 “ミイラ取りがミイラになる”とはまさにこのこと。

 ただ翌日、冷静になった直孝さんは、自分がしでかしたことをひどく後悔。佐久間さんには有希さんとホテルに行ってしまったという愚かな罪も白状したうえで、彼女のアプリ絡みの男関係を全部報告しようかとかと考えていたそうです。

「ただ、そうすると不適切な関係だったとはいえ、有希ちゃんとの約束を反故することになります。それはそれで筋が通らないと思ったので、また有希ちゃんを呼び出して、『二人で全部正直に佐久間に白状しよう』って提案したんですよ。すると彼女はすごく残念そうな顔……というか、“使えない男だな”っていう見下したような表情をした後に、ニコッと微笑んでこう言うんです。

『アプリは削除したんで、証拠は全部消してあります。あと実は昨日のホテルに入ってからスマホでずっと録音してたんですよ。直孝さん、前からずっと有希のこと気になってたとか、有希とこういうことしたいって妄想してたとか、そういう言葉もたくさん浴びせてくれましたよね(笑)』……と」

◆親友の安堵した表情を見て胸が痛んだ

 遠まわしに「言うなよ」と釘を刺されたことは明白。直孝さんは罪を償う覚悟があったとはいえ、さすがにそんな生々しい裏切りの会話や変態セリフを佐久間さんに聞かれるわけにはいかない――。

「終わった、と思いましたね……。しかも彼女のすごいところは、その日も僕をラブホに誘ってきて関係を持ったこと。佐久間に対しての『一度きりの過ちだった』というせめてものエクスキューズ(言い訳)も潰されたわけです。またしても誘惑に負けてしまった自分も自分ですが、二度も関係を持ってしまってはもう後戻りはできない。

 僕は佐久間に『有希ちゃんのスマホ見せてもらってLINEもインスタのDMも全部調べたけど怪しいところなんて一切なかったよ』と報告。彼は『ありがとう、助かったよ。有希を疑った僕はどうかしてたな』なんて言って、安堵した表情を見せてくれて……、本当に胸が痛みましたね」

◆「小悪魔」どころじゃない「最強悪女」だった

 有希さんは「小悪魔」どころか「最強悪女」だったのかもしれません。自業自得と言えばそれまでですが、悪女の共犯者になり親友を裏切った直孝さんは、いまも強烈な罪悪感にさいなまれているそうです。<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi