「職員のなかには『都知事が変われば現場は混乱するだろうけど、石丸さんなら一緒に仕事をしてみたいという気持ちはある』と話す人が何人もいた。というのも、石丸さんは安芸高田市議会とは衝突しても、市職員のことは必ず守っていたから。自分たちのボスを決める選挙の候補者なので、多くの都職員が安芸高田市議会の動画もチェックしていたようです。

そんな職員たちの期待の背景には、小池都知事の“密室政治”もある。小池さんは3人ほどの主要ブレーンとだけ話し合い、多くの政策をトップダウンで決めるため、たびたび現場は混乱してきた。今回の都知事選で自らの実績として訴えていた、0〜18歳全員を対象に月5000円を支給する『018サポート』もその典型。都の幹部の多くが発表の前日に知らされたため、誰が担当するかもわかっていなかった。石丸さんなら職員の声にも耳を傾けてくれるのでは?という期待があったようです」

 もちろん、副都知事のハードルは低くない。現状4人の都副知事の枠は元ヤフー社長の宮坂学氏らで埋まっている。そもそも「自分の存在感を薄める石丸さんを小池都知事が起用することはない」(都政担当記者)という声もあれば、「石丸氏の本命は来年の広島県知事選だろう」(週刊誌記者)とも囁かれている。それでも、都知事選で奇跡とも言える結果を残した石丸氏なら、もしかして……? 石丸劇場のその後にも注目したい。

<取材・文・撮影/池垣 完(本誌) 吉岡 俊>