[画像] 上尾中央総合病院「ダビンチSP」シングルポート手術支援ロボット導入から1年、手術の実績を公表 低侵襲手術を多領域で実施

医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院は、2023年7月に関東で初めてシングルポート手術支援ロボット「ダビンチSP」を導入した。それから1年が経過、複数の診療科で着実な成果を上げていることを発表した。



シングルポートの手術支援ロボット「ダビンチSP」

●2023年7月〜2024年6月の手術実績は170例

2024年7月現在、ダビンチSPは泌尿器科、肝胆膵外科、耳鼻いんこう科・頭頸部外科、産婦人科の4つの診療領域で活用されている。同病院は導入から1年間で、前立腺がん47例、女性骨盤臓器脱91例、腎臓がん2例、肝臓がん8例、すい臓がん1例、頭頸部がん8例、子宮の良性腫瘍など13例の計170例の手術を実施した。



手術室の全景

●■手術件数

泌尿器科:

前立腺がん:47件
骨盤臓器脱:91件
腎臓がん :2件

肝胆膵外科:

肝臓がん :8件
すい臓がん:1件

耳鼻いんこう科・頭頸部外科:

頭頸部がん:8件

産婦人科:

子宮の良性腫瘍など:13件

●ダビンチSPの利点

「ダビンチSP」(Da Vinci SPサージカルシステム)は1本のハンド(シングルポート)から、身体の内部で自由度の高い複数の鉗子や照明、カメラを伸ばして手術できることが特徴。外部でのアーム同士の干渉もない。





「Da Vinci SPサージカルシステム」公式ページより

従来のマルチポートシステムでは複数の切開口が必要で、術後に複数の切開創(手術のきず)ができる。「ダビンチSP」では、切開創を最少で1つに減らすことができ、整容性(見た目への影響)の改善や術後疼痛の軽減が期待できる。
機器の特性上、小切開(ちいさなきず)による「最小限の空間」で良好な視野と鉗子の操作性を維持しながら、「周辺組織に愛護的(手術の影響を最小限にとどめること)」に体腔内の深く狭い部位の手術が可能となっている。



術者の手元

●一人ひとりに最適な医療を提供

症例によっては、マルチポートのダビンチや腹腔鏡手術、開腹手術が適している場合もある。同病院では、経験豊富な医師陣が慎重に検討を重ね、患者にとって最適な手術方法を提供するとしている。

同病院は「患者と医療者がパートナーとして、一人ひとりに寄り添った医療の実践に努めてまいります。最新の医療技術を積極的に導入することで、地域医療の質向上に貢献していく所存です」とコメントしている。