経営していて苦しいこともあるのですが、やりたくてやっていますし、長期スパンで見れば指数関数的に順調に伸びてこられていると思っています。

 それは最初に掲げた目標が、社会においてずれていなかったということと、社員がそこを信じて諦めずに試行錯誤してきたからかなと思います。

 ─ いま社員数、売上規模はどのくらいですか。

 橋本 正社員が108人で、来期2月の決算見込みは190億円です。会社としての安定性というのは一定確保しつつ、基本的には研究開発費などに投資してというまだまだ成長フェーズにあると思っています。

 ─ ここまで順調にこれているということですね。

 橋本 はい。でも創業当時はビジネスとしてはもう少し苦労すると思っていました。在庫を持たないIT企業ではないので、やはり一般的なIT企業のような成長は難しいだろうと。2016年頃は、IT企業以外のスタートアップというのはほとんどなかったので、その中で高い成長率を実現できるかどうかは不透明でした。

 ─ ターゲットは主に若い世代ですか。

 橋本 最終的には年齢性別問わず全世代です。現代の主食を正しい主食に戻すということがコンセプトです。日本では、栄養のある雑穀、稗、粟、豆などを食べていました。産業革命以前の食生活に戻したいというのが根本にありまして、そこに産業革命以降の便利さや美味しさを取り入れる。現代的なところも残しながら、伝統回帰していくという。

 起業当時は20代、IT企業で一人暮らし、新しいものが好きで、時短ができ、健康も気にし始めてて、美味しいものも好きな人たちがメインの顧客層でしたが、最近は女性であったり、年齢もボリュームゾーンは40代~50代の方も多くなってきました。クッキーはお子様のおやつにと、だんだん広がりが出てきています。

 ─ 高齢世代はどうですか。

 橋本 多いですが、もっと食べてほしいと思っています。例えばわたしの祖母は90代ですが、だんだん年齢が進むとキッチンのある2階に行かなくなるんです。料理が大変なので1階に置いてある菓子パンとかを食べるわけです。転んで入院して足が悪くなって、運動量が減ってしまうということもあります。バランスの良い食事で栄養をきちんと取って、骨を強くしたり、筋肉を増やしたりしてほしいので、祖母には毎月商品を送っています。

 ─ 具体的にはどういった売り方をしているんですか。

 橋本 自社ウェブサイトでの定期購買の販売が一番売り上げとして大きいです。健康は継続が重要なので、継続するためには定期購買というかたちをとっています。次に多いのがコンビニです。大手コンビニ3社に置いていますので、基本的には全国ほぼ全てのコンビニで買っていただけます。

 ─ コンビニ大手3社で置いてあるのは珍しいですね。これはなぜ実現できたのですか。

 橋本 本当にありがたいことです。3社導入に至ったのは、ひとつは当社の商品をインターネットで買っている顧客はコンビニで買う顧客層と近しいという点があります。精神的に若く、都市的で利便性を取る方だと思うんです。定期購買は非常に売れているのですが、コンビニにも置いてほしいというお客さんからの声もあるのです。

 もうひとつはうちのチームが、3社に対して、当社のバリューや、こういった商品が置かれることで、健康な人が増えると、商品特性と理念を理解してもらえたといいますか。商品を取り扱っていただいている方々は、当社の商品を売ることの社会的意義みたいなことを感じていただいているので、そこはすごく有難いですし、われわれとしてもそこに応えていかないといけないと思っています。