[画像] 車が線路に脱輪、駆けつけたのは名門ラグビー部員「持ち上げますよ」

 線路に脱輪した軽トラックを救出したとして、京都府警田辺署が6月30日、同志社大ラグビー部員ら10人と、JR東海の職員1人に感謝状を贈った。部員らは「日ごろ、体を鍛えているおかげ」と喜んだ。

感謝状を受け取る同志社大のラグビー部員=2024年6月30日午後0時6分、京都府京田辺市の田辺署、茶井祐輝撮影

 田辺署によると、4月25日午前7時40分ごろ、近鉄京都線興戸―三山木駅間の興戸第5号踏切で、軽トラックが誤って線路へ脱輪、立ち往生した。すぐに非常ボタンが押され、電車は止まった。

 ほどなくして、150メートルほど離れた同志社大ラグビー部寮のインターホンが鳴った。近所を散歩していた人だった。朝食を食べていた2年生の三井凌さん(19)が応じた。聞けば、線路に車が脱輪したらしい。「助けて」と頼まれたという。

 その場にいたフォワードのメンバー中心に声をかけ、現場へ向かった。フォワードはスクラムを組むポジションで、恵まれた体格の選手が多い。

 現場では警察官らが、対応を決めかねていた。道が狭く、レッカー車は入るのが難しい。ジャッキアップするか。そこにラグビー部員らが駆けつけた。「持ち上げますよ」

 まず、脱輪した車の左側を持ち上げて線路から踏切に上げた。さらにパンクしていたため、前に押して踏切から脱出させた。

 そのときを振り返り、三井さんは「人として当然のことをしたまでです」と話した。部員らが手伝ったおかげで、電車は20分ほどで運転を再開できた。

 永野雅登実署長は「地元の方がすごく安心されました。ラグビーの活躍にも期待しています」

 緊急停止した近鉄京都線に乗っていたJR東海職員の中谷大樹さんも車を押して手伝った。ラグビー部コーチの大内亮助さん(46)のほか、部員の趙英紀さん、上野聡太さん、石田太陽さん、小林弦英さん、広崎颯太さん、苗木健太さん、柏村一喜さん、荒川駿さんも感謝状を贈られた。(茶井祐輝)