[画像] 球じゃないのに車輪状に転がる。「ルーローの三角形」が3Dになった

ルーローの三角形3D化モデル
Gif: A. Arman et al. / SageMath / D. Radchenko

「ルーローの三角形」を3Dにしました!

これで1988年からの数学の命題に回答が出たよ!という論文がarXivに発表されました。

どんな命題の話?

ここでいう命題というのは、山で転落死した数学者オデッド・シュラム (Oded Schramm)が生前に提唱したもので、その心は「高次元(3次元)の世界でも、ルーローの三角形みたいに、球より小さいが、どの方向から見ても幅が同じ図形は存在する」というもの。

ルーローの三角形は幅が一定な「定幅図形」。コロコロ転がっても高さが変わらない
Illustration: David Eppstein

米Gizmodoからのメール取材に対し、論文共著者であるノルウェー科学技術大学数学科のAndriy Bondarenko准教授は次のように語っていますよ。

「各図形の体積が容易に計算できることが一番大きかった」

「おかげで図形のn体積を球のn体積と比較しながら、考案した図形の体積が指数関数的に小さいことを、数学的に厳密に確かめることができました」

ルーローの三角形とは?

「ルーローの三角形」の作り方は簡単。正三角形の角の点のどこかにコンパスをブスッと挿して、ほかの2点を結ぶ曲線を書く作業を各点ごとに3回繰り返すと、膨らんだ三角おむすびみたいな図形ができます。これが、ルーローの三角形。同じ幅の円より面積は少ないですが、どの向きから測っても幅は同じです。

転がっても高さが変わらないので、幅を測るように外側に平行に線を引くと、どの角度から測ってもこの幅にピタッとはまります。上の動画みたいに、車輪に使っても、上の台は上下に動かず水平に進むんですね。

ルーロ―さんは19世紀のエンジニアですが、ルーローの三角形の実用はもっと古く、レオナルド・ダ・ヴィンチやオイラーの時代からすでに実地で利用されていました。三角なのに丸く回れることから、今もロボット掃除機がこの形を採用してたりしますね。

こういう転がっても高さが変わらない図形を、総じて「定幅図形」と呼ぶんですが、1914〜1915年には「ルーロ―の三角形が定幅図形のなかで面積が最小」と唱える著名な数学者が出現(オーストリアのWilhelm Blaschke氏とフランスのHenri Lebesgue氏)。それぞれ個別に発表したことから、2人の名前をドッキングして「ブラシュケ=ルベーグの定理」と呼ばれて今に至ります。

確かに2次元ではその通りなのですが、3次元以上のことは誰にもわかりません。その状態がずっと続いていたのですが、そこにやっと回答らしきものが示されたというわけです。

3Dの定幅図形ってどんなカタチなの?

2次元ではルーローの三角形。3次元では長方形に見えますが、ちゃんと人間の脳でも視覚化できる形状です。まあ、3次元を超えると、研究班による数理的な予測に頼るほかないのですけどね。

2Dで見るとこうなる
Illustration: A. Arman et al. / SageMath / D. Radchenko

「構築化に成功した理由の1つは、おそらくわれわれの身体も「アンバランス」で、常に一定方向にプッシュされている存在だということと無縁ではないでしょう」とメール取材に答えてくれたのは、カナダのマニトバ大学数学科のAndriy Prymark教授(共著者)。

「身体は球とは異なるので、同じ幅で最小の体積を実現しているのです」

New Scientistの報道には、高次元になればなるほど、定幅図形は同次元の球体より小さくなっていくとあります。また、丸くないのに車輪のようにスムーズに転がる、とも。

気になる新図形の名称は未定です。去年は隙間なく並べられる13角形「the hat」、バンパイア・アインシュタインの新図形が「the Spectre」と命名されましたっけね。球より小さくて、一定の幅で動く新図形ということで、米Gizmodoは「Svelteなんてどう?」と言ってますけど、さて?

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