[画像] 「霜降り明星」「四千頭身」「EXIT」…「お笑い第7世代」は“オワコン化”したのか? 現役テレビ局員が明かす「彼らのテレビ露出が減っている本当の理由」

「お笑い第7世代」の“失速”を指摘する声が高まっている。最盛期に比べれば「テレビへの露出」が減っているのは事実だが、業界関係者に言わせると「話はそう単純でない」とか。実はその背景には、彼らの世代から顕著になり始めた「ある大きな変化」が挙げられるという。

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 お笑い第7世代とは、一般的に「2010年以降にデビュー」した「ゆとり世代」や「平成生まれ」の芸人を指すとされる。EXITやハナコ、ゆりやんレトリィバァなどが該当するが、同世代のひとりである四千頭身の都築拓紀が先日、深夜番組で「オレたちって終わってるんですか? ネットでもオワコンって……」と発言したことで、ふたたび彼らの存在に注目が集まっている。

レギュラーは1本に(粗品)

 その「第7世代」の代表格で“名付け親”でもあるのが、お笑いコンビ「霜降り明星」のせいやと粗品だが、

「2人にとって在京キー局初の冠番組だった『霜降りバラエティX』(テレビ朝日系)が6月いっぱいで終了し、一時は9本あったレギュラーがいよいよ1本になります。粗品が元雨上がり決死隊の宮迫博之さんとのバトルなどで物議をかもしたことから、“それが理由では?”といった声もありますが、実際はテレビ局側の意向というより、粗品さんの番組へのモチベーション低下のほうが大きい。宮迫さんら有名人とのバトルの舞台の一つともなった自身のYouTube番組へかける情熱はテレビ以上のものがあると聞いています」(民放キー局局員)

“テレビは好きだけど、テレビで活躍するのが絶対じゃない”――。そんな粗品が持つメンタリティは、実は「第7世代」に共通するものだという。

「テレビ至上主義」との決別

 キー局局員が続ける。

「たとえばEXITの兼近大樹さんは“出たくない番組には出ない”とのポリシーを隠そうとせず、大先輩である明石家さんまさんの番組『さんまのお笑い向上委員会』からの出演オファーを何度も断っていたのは有名な話です。ひと昔前までは“出ても楽しくない番組にムリに出る必要はない”なんて考えを実行に移すのはあり得ないことだった。兼近さんは番組の打ち上げにも基本参加せず、来てもすぐ帰ってしまうことで知られますが、つまりは“プロデューサーに気に入られて仕事をもらおう”なんて意識も持ち合わせていないということ。かつての〈テレビ至上主義〉とでもいった感覚は、EXITより下の世代では急速に薄れつつあります」

 粗品やEXITだけでなく、「ハナコがいまも舞台に相当な精力を注ぎ込んでいるのは周知の事実」(お笑いライター)であり、また“ゆりやんレトリィバァ”もラッパー・Awichの楽曲に客演で参加するなど、活躍の場をテレビ以外へと積極的に広げている。

 そんな彼らの行動原理のウラにある「思考」を解説するのは、あるお笑い関係者だ。

「第2のダウンタウン」を目指さない

「若い世代ほど“テレビで売れることがイコール、芸人としての成功じゃない”といった考えを持っていて、実際、彼らに“ガツガツした上昇志向”は見られない。M-1グランプリ2023で優勝した『令和ロマン』の高比良くるまも“テレビは基本的に出ない。ほとんど断っている”と話していて、その理由を“テレビは自分たちより上の世代のもの。そこですでに完成している”と語っています」

 その分、令和ロマンもYouTube活動に力を入れるなど、テレビ以外のメディアの可能性を追求しているが、「自分たちで編集できて、ネタを思い通りに披露できる媒体としてYouTubeを重宝する」芸人は年々増えているという。

「実は『千鳥』や『かまいたち』あたりの世代までが、“第2のダウンタウン”を目指し、テレビ界で覇権を取ることが『芸人の成功モデル』との“刷り込み”を残す最後の世代。でも、その下の代になると、ヒエラルキーが確立されたテレビの世界に乗り込んでまで“天下を取ってやろう”との気迫は持っていない。あくまで“実用的なツール”の一つとしてテレビと付き合うといった感覚で、その新しい距離感にわれわれ局員側もしばしば戸惑うことがある」(前出・キー局局員)

「娯楽の王者」の座から陥落したテレビの実像をより理解しているのは、テレビマンか、若手芸人か。

デイリー新潮編集部