[画像] AIプロジェクトの進行度を示す「AIジャーニー」で日本は最下位 - ネットアップが分析

ネットアップは6月14日、第2回目となる年次レポートとして「クラウドの複雑性に関するレポート」を発表した。同レポートは、AIを大規模に導入している世界中のテクノロジー意思決定者の経験を分析し、AI先進国と後進国の企業間の違いを探るもの。

2024年のレポートでは、2023年のレポートからの進展や企業のAIに対する準備状況、AIの課題と成長スピード、AI先進国とAI後進国から学べること、AI成功のための統合データインフラの重要性などについての洞察などを紹介している。

AIジャーニーにおける進行度 引用:ネットアップ

○AIプロジェクトの進行度、最下位は日本

同レポートにより、いくつかの分野においてAI先進国とAI後進国の企業間に明らかな格差があることが判明した。地域別でみると、AIプロジェクトの進行度を示す「AIジャーニー」において、トップはインド(70%)、最下位は日本(19%)となっている。

AI先進国(インド、シンガポール、英国、米国)は平均60%のプロジェクトが進行中または試験導入中であるのに対し、AI後進国(スペイン、オーストラリア/ニュージーランド、ドイツ、日本)は平均36%であった。

業界別では、テクノロジー業界でAIプロジェクトの70%が進行中または試験導入されており、銀行・金融サービスでは55%、製造業では50%と続く。しかし、ヘルスケアは38%、メディア・エンターテイメントは25%と遅れを取っている。

企業規模では、大企業(従業員250名以上)はAIプロジェクトを進めている傾向が高く、62%がプロジェクト稼働中と報告しているのに対し、中小企業(従業員250名未満)は36%となっている。

世界的にAI先進国の企業の67%がハイブリッドのIT環境を有し、インドがAI先進国のトップ(70%)なのに対し、日本は遅れを取っている(24%)。AI先駆者はAIによるメリットを報告する傾向が高く、50%の生産率向上、46%のルーチン業務自動化、45%の顧客体験改善などの報告が挙がっている。

AI後進国のAI向けのIT環境の準備は著しく進んでいるが、AI先進国に追いつくことは急激に難しくなりつつあるという。ドイツ(67%)やスペイン(59%)など、AI後進国のかなりの数の企業(42%)が、AI向けにIT環境を最適化している。

また、一部のAI後進国の企業では統合データインフラが整備され、メリットとしてより簡単なデータ共有がスペイン(45%)、オーストラリア/ニュージーランド(43%)、ドイツ(44%)、可視性の向上がスペイン(54%)、ドイツ(46%)。

日本では、組織のデータに対する可視性の向上(33%)が最多となり、次いでクラウドとオンプレミスのシステム間でのデータ共有の容易さ(25%)、データがどこにあっても同じツールとオペレーティング システムでデータの制御と管理が簡素化される(24%)となっている。

○サイバーセキュリティリスクの上昇に懸念

AIリーダーはまた、2024年を通じてクラウド運用、データセキュリティ、AI投資を増やすとしており、大企業の40%は、AIプロジェクトによりITコストが上昇していると回答した。前年比で「増加するサイバーセキュリティリスク」は45%から61%に増加し、他の懸念事項は減少している。

AIプロジェクトのコスト管理のため、世界の31%の企業が他の事業領域からコストを再配分しており、インド(48%)、英国(40%)、米国(35%)が主導している。日本では16%の企業がAIプロジェクトでITコストが増加したと回答し、35%が「サイバーセキュリティリスクの増加」を最大の懸念事項として挙げ、9%が他の事業領域から資金を再配分している。

また、AI先進国か後進国かにかかわらず、世界の企業は投資拡大につれ企業の目標達成のためにクラウドに頼っているという。AI主導のクラウド導入を増やす企業は、2024年から2030年にかけて19%増加する見込みであり、AIリーダーの85%は、今後1年間でCloudOpsの自動化を強化する予定としている。また、データセキュリティへの投資の増加は、2023年の33%から2024年の58%に25%増加するなど、世界的に優先事項になっているとのことだ。

日本では、2024年から2030年の間にクラウド展開の50%以上をAI主導のアプリケーションでサポートする企業が7%増加すると予測され、AIリーダーの約22%が今後1年間でCloudOpsの自動化を強化する予定だという。2024年にはデータセキュリティへの投資が重要となり、64%の回答者がクラウド投資の意思決定を促す主要なビジネスニーズのトップ3に挙げている。