渋滞情報の数字 かなり信頼できるようになった!?
高速道路上の情報表示版では、「東町〜西町 渋滞60分」といったように、所要時間が表示されていることも多いです。
この所要時間、最近はその精度が大幅に向上し、かなり信頼できる数字になっているようです。なぜなのでしょうか。
通過時間はもともと、道路管理者が自前で計測装置を設置し、渋滞の有無などとともに算出していました。
【画像】えっ…!? これが首都高の「超レア」危険情報です(30枚以上)
たとえばNEXCO中日本の場合、従来の方法は「地面に車両感知器を埋め込み、上を通り抜けるクルマを感知する」というものでした。検出した通過速度から、そこが渋滞しているかどうかを把握し、その状況から所要時間を割り出すという、かなり大雑把といえるやり方です。
車両感知器の間隔は2kmごとでした。もっとも、長距離移動のルート判断やスケジュール把握には、それくらいのアバウトさでも何とかなったのかもしれません。
しかし、同社は2020年に新たな計測システムを導入。それはETCの新世代「ETC2.0」を活用したものです。
ETC2.0は従来のETCと比べ、料金所での出入り情報だけでない、幅広い相互通信を可能にしています。2011年に全国の高速道路の約1600か所で、ETC2.0を通じて個別のクルマと通信をおこなう「ITSスポット」が設置されました。これにより、それぞれのクルマで「いつ、どこで、どれくらいの速度で走っているか」という情報(ETC2.0プローブデータ)が刻一刻と照会できるようになりました。
これを活用したのが、新たな渋滞情報のシステムです。2020年には「4台に1台がETC2.0搭載車」というまでに普及したため、いよいよ情報を活用できる段階になったというわけです。
ITSスポットは今や「200m間隔」となっています。きめ細かな情報で計算できるほか、従来モデルとくらべて「現実の通過時間の実績」が使えるため、現在の情報板の数字は、精度が高いといいます。もちろん、誰か1台の情報を見ているわけではなく、膨大なクルマの全情報を分析して平均データとしているので、より精度が高くなっています。
2020年のお盆に行われた効果検証の結果によると、ETC2.0プローブデータにより算出した所要時間と実際の所要時間の一致率は「95%」だったそうです。これは渋滞時も非渋滞時も同程度でした。
今までの「車両感知器」だと、渋滞時は感知器の上のクルマの挙動が「停止」「ノロノロ」「普通の速度」などバラバラになりがちで、全体状況の把握には不向きでした。しかしETC2.0は「実際の移動実績」に基づくため、精度が落ちようがないということです。
NECO中日本 名古屋支社は4月9日に、公式SNSで「200m間隔」の新システムを紹介。投稿には300近い「いいね」がついています。同支社は「(事故渋滞 8km 120分という)写真のような渋滞情報を見たら要注意!! 迂回をご検討ください」と呼びかけています。