[画像] 日本ロレアル「過去最高」の2023年を支えたのは? 好調事例を振り返る

日本ロレアルが、事業戦略説明会を開催した。2023年は、「タカミ(TAKAMI)」や「イソップ(Aēsop)」といった近年グループ傘下となったブランドをはじめ、全てのカテゴリーで前年実績を上回り、過去25年で最高の業績を達成した。ジャン-ピエール・シャリトン社長は、「最高で、歴史的な年」だと振り返り、その追い風を受けたまま2024年もアクセルを踏む。背景にあるテクノロジー・イノベーションを武器にした、日本ロレアルの強さを好調ブランドで振り返る。

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 日本のビューティ市場はコロナ以前の2019年水準に回復している中で、「われわれは市場の2倍の成長を遂げた」とシャリトン社長。オンライン・オフラインともに前年から2桁台のペースで成長し、全カテゴリーで前年を上回った。特にメイクアップは約20%の成長率で、コロナからの復活を堅固なものにした。メイクアップは、取り扱うラグジュアリーブランドが揃うリュクス事業本部、マスブランドを中心としたコンシューマープロダクツ事業本部いずれも好調だという。また近年のドクターズコスメ人気を背景に、タカミや「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」などを擁するダーマトロジカル ビューティ事業本部(昨年アクティブコスメティックス事業本部から名称を変更)も売上を支えた。タカミは定期購入のビジネスモデルの定着およびリアルでのポップアップなど、OMOが奏功し、認知・売上ともに拡大。日本ロレアルでNO.1のブランドに成長した。同じく、日本発ブランドの「シュウ ウエムラ(shu uemura)」もクレンジングオイルやアイシャドウが人気を博し売上を伸ばしたほか、メイクアップブランド「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」のマスカラ「スカイハイ」が引き続き人気を獲得した。

 こうしたブランドを支えるのは、日本ロレアルが持つ研究背景だ。グローバルの中でも日本のリサーチセンターは最大クラスで、北アジア市場の成長にも貢献している。例えば、スカイハイは日本人ユーザーのニーズに対応して開発した特別なブラシの形態が目を引き、シュウ ウエムラでは国産車メーカー「マツダ」の塗装技術から着想を得た新テクスチャーを取り入れたアイシャドウが注目を集めた。また、ラ ロッシュ ポゼが今年から日本展開を開始したシカ成分入りクリーム「シカプラスト リペアクリーム B5+」は、日本向け処方を採用したことで好調な滑り出しだという。

 加えて、日本におけるフレグランス人気はリュクス事業本部の好調を後押しした。「レプリカ」や「イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」(以下、YSL)のフレグランスは若年層を中心に売上を拡大。「プラダ ビューティ(PRADA BEAUTY)」は「プラダ パラドックス オーデパルファム」を皮切りに日本に上陸し、ポップアップストア「プラダ ビューティ トウキョウ」や伊勢丹新宿店をオープンした。「ファッションブランドのラグジュアリービューティのポテンシャルは高い。今後もメイクとファッションのトレンド性を追求したハイクラスな商品を提案していく」とシャリトン社長も期待を寄せた。またYSLは今年、平野紫耀をアジア アンバサダーに迎えたことで更なる躍進を遂げるだろうと言及した。

 そのほか、サロン向けヘアケア商材を展開するプロフェッショナルプロダクツ事業本部では、「イノアカラー(iNOA)」の新作がファッション性を兼ね備えた白髪染めニーズを捉えるなどで好調。ロレアル プロフェッショナルは今年誕生15周年で、秋に大型イベントの開催を予定している。

 昨年グループに加わったイソップはスキンケアからフレグランスまで揃え、ホリスティックな世界観がコロナ以降の消費者ニーズと合致。日本はトップ売上のマーケットで、昨年は吉祥寺や広島に路面店をオープン。今年は鎌倉に新店舗を設けるなど勢いを増している。

 2024年以降も「日本生まれのイノベーション」に注力し、各事業本部を支えていくとした。またタカミやイソップなどの成功事例からM&Aも視野に、「日本ブランドで、メイクアップやスキンケア等、全てのカテゴリーで可能性があるが、中でもプレミアムラグジュアリースキンケアで、ホリスティックブランドが最も気になっているところだ」と語った。