2024年2月2日に発売されたヘッドセット型デバイスのApple Vision Proを使用する一部のユーザーが「目の腫れや頭痛、首の痛みなどに悩まされている」との不満を漏らしていることが報告されています。

Some Apple Vision Pro users suffer black eyes, headaches and neck pain - MarketWatch

https://www.marketwatch.com/story/some-apple-vision-pro-userssufferblack-eyes-headaches-and-neck-pain-626291fc



海外メディアのHopscotch Interactiveでチーフメディアオフィサーを務めるエミリー・オルマン氏は「Apple Vision Proが到着してすぐに約1時間使用してみました。すると、明らかに頬の辺りに負担がかかり、一時的に目の下に真っ黒なくまができました」と報告。また「使用を始めて最初の数週間は、フィット感が悪く、あまり使用できませんでした」と語っています。

また、コンサルティング会社のSignal and Cipherのイアン・ビークラフトCEOは「Apple Vision Proを約2時間装着すると、頭蓋骨の付け根と背中の上部に痛みを感じました」と述べています。さらに、一部のユーザーからは「Apple Vision Proを1時間以上装着すると、頭痛や首の痛み、眼精疲労、背中の痛みが生じるほか、目の下にくまができる、目が腫れる、ドライアイになる」などの身体的な問題が現れることが指摘されました。



動画配信プラットフォーム「Wistia」のクリス・サベージCEOは「Apple Vision Proを最初に装着した時の第一印象は『思ったほど快適ではない』というものでした。フィット感を向上できたのは数日後で、バンドをきつく締めすぎていたのが原因でした。しかし、Apple Vision Proを使い始めると、Appleが主張する『今まで見た中で最高の、最も明るい画面』に目がくらんでしまいました」と語りました。

スタンフォード大学のジェレミー・ベイレンソン氏は「Apple Vision Proを含むAR・VRヘッドセットの使いすぎは、一時的な不快感や現実世界からの注意が散漫になる、乗り物酔いに似た『シミュレーター酔い』につながる可能性があります」と指摘しています。実際に手術でAR・VRヘッドセットを使用する、形成外科医のズハイブ・イブラヒム氏は「手術中にヘッドセットを2時間以上使用すると頭が痛くなります。そのため、適宜休憩が必要です」と述べています。

AppleはApple Vision Proを使用する上でのガイドラインで「Apple Vision Proの使用に慣れてきたら、自身の快適さのレベルに応じて20〜30分ごとに休憩を取ってください。また、使用中に体調が悪くなった場合はただちに使用を中止し、それでも症状が続く場合は、適切な医療機関を受診してください」と示しています。

一方でAppleはこの件を報じた海外メディアのMarket Watchに対して「顧客の大多数はApple Vision Proに最高の評価を与えており、物理的な影響について不満を漏らす人はほとんどいません」と語り、正式なコメントを残しませんでした。