生成AIの技術を悪用し、政治家や芸能人などがまるで話しているかのように加工したフェイク動画。岸田文雄首相(66)が卑猥な言葉を話しているフェイク動画がXに投稿され、波紋を呼んでいる。

話題になった動画は、岸田首相が取材に答えている画像の口元だけが動いており、話し方や声も似ているが、その内容は卑猥な言葉を話している。そして、画面右上には実在する日本テレビの報道番組『日テレNEWS24』のロゴ、中央下部には「BREAKING NEWS」と書かれたテロップがあり、一見すると本物の報道番組と見紛うもの。読売新聞によると、今年の夏に動画サイトに投稿されたもので、30秒ほど切り抜かれたものがXで11月初旬に拡散した形だ。

こうした事態を受けて11月4日、日本テレビは、ロゴを無断で使用されたとして番組を通じて抗議文を発表。「放送、番組ロゴをこのようなフェイク動画に悪用されたことは到底許すことはできません」とし、「フェイク動画について今後も必要に応じてしかるべき対応をしてまいります」と厳しい態度をみせた。

この対応に慌てたのか、同日に投稿者を名乗る人物が、Xに《日本テレビさま 岸田総理のAIフェィク動画は全て削除させて頂きましたのでどうか訴訟等は停止してください》と投稿。さらに《私には日本テレビの業務を妨害する意図はありませんし攻撃をする意図もございません。全て削除し平に謝罪させていただきます 申し訳ございませんでした》と続け、悪意を持って動画を作成したわけではないと弁明した。

その後も《俺がロゴの無断使用、そして日テレの放送だと誤認させてしまった可能性があることに対して弁明し、平穏な生活を取り戻したいだけなのよ》などと綴り、自ら日本テレビの視聴者用の意見フォームに謝罪文を送ったことも明かしていた。

5日時点では日本テレビからの連絡はなかったようだが、今後の投稿者への対応などについて6日、本誌が日本テレビに問い合わせると、翌日に次の回答があった。

「フェイク動画については、日本テレビはこれまでもホームページやニュースで詐欺被害の防止を呼びかけるなどしており、今後も必要に応じて然るべき対応をしてまいります」

果たして、投稿者が支払うフェイク動画の“代償”は――。