日本経済新聞電子版が2023年10月30日にX(ツイッター)に投稿した日米の長期金利を示したグラフに、「誤認を招く」「印象操作」との批判が相次ぐ騒ぎがあった。

批判を受けてか、日経は問題された投稿を削除。翌31日にグラフを修正したうえで再投稿したが、これについても未だ「不適切だ」とする指摘が寄せられている。

「誤認を誘う二軸グラフです」

物議を醸しているのは、日経電子版が30日に投稿した「日銀、金利操作を再修正へ 長期金利1%超え柔軟に」とする記事に添えられた折れ線グラフだ。

「日本の長期金利は日銀が上限とする1%に迫っている」との文言が添えられた画像は、日米の金利を示す折れ線グラフを上下に2つ重ねたものだった。

グラフで表現された期間はいずれも23年1月〜10月だが、右端に示した日本の金利を示すグラフの軸は0.2〜1%、左に示した米国の金利を示すグラフの軸は3.5〜5%だった。2つのグラフは異なる軸で表現されているにも関わらず重なり合うように表示され、日本の金利を示すグラフが上側に配置されていた。

このグラフに、Xでは「印象操作」「詐欺グラフ」との批判が続々と寄せられ、物議を醸した。

投稿に背景情報を追加する「コミュニティノート」でも、「誤認を誘う二軸グラフです」「3.5〜5%の軸の上に0.2〜1%の軸のグラフを表示することで米国の金利より日本の金利が高いと誤認させる可能性があります」とする指摘が寄せられた。

批判が相次いだことを受けてか、日経は問題視された投稿を削除。翌31日に「グラフに不備があったため、修正し再投稿しました」として再度同じ記事に関するグラフを公開した。

新たなグラフでは米国が上部、日本が下部に改められたものの、未だ誤認を招く恐れのある表現だとする指摘がある。

「なぜグラフの中でメモリの縮尺を変えるのでしょうか?」

日本のグラフにおける1.0%と、米国のグラフにおける3.0%が同じ高さの線で結ばれているほか、日本側の軸は0.2%刻み、米国側の軸が0.5%刻みになっていることが理由だ。

新たな投稿にもコミュニティノートが付いており、「横線で1%と3%が繋がれており、演出が過剰にされているグラフとなっています」と指摘されている。

修正後のグラフを見たユーザーからは呆れる声が上がっている。

「『修正するけど全然直ってない』パターンは初めてかもしれない」
「なぜグラフの中でメモリの縮尺を変えるのでしょうか?2度目のコミュニティノートです。小さい値を強調したいなら対数グラフを使った方がまだましでしょう」
「コミュニティノートで指摘されてますけど、まだまだ事実誤認を誘うグラフのままでしょう(縦軸をしっかり見れば誰でも分かる話ですが)本気でやってるなら馬鹿ですし、わざとやってるなら悪質の一言に尽きます」