なぜ、そんなにサッカーが好きなのか? 未練がましくやっているだけですよ、と笑ってこう続けた。

「自分の価値を評価してくれるチームがあればずっと選手でいたい。昔はJ1でできないのなら終わりと思ったけど、今はそういうことに関係なく、サッカーをやっていたい思いが強い。カズさんじゃないけど、もっと巧くなりたい欲があるし、引退を考えたこともない。これまでの積み重ねがようやく形になってきたのかな。指導者にしても解説者にしても信頼されているからやれるので、その対価に見合ったものをしっかり返さないといけません」

 解説は昨季までがJ2で、6年目の今季からJ1も受け持つ。担当するカードは、両チームの直近の映像を最低3試合ずつ見る。ルヴァンカップを挟むと若手が出場するので、5試合ずつチェックするが、監督という立場からいい勉強になるそうだ。

 社会人チームの練習は夜間に週2日。永井を除く選手19人は全員が大学生だ。当面は来季の2部昇格と選手の意識改革を目ざす。

 5月からは浦和のMF安居海渡の母校、浦和学院高校サッカー部のアドバイザーに就任し、部活動の手伝いを週に1度こなす。同校では小学1〜6年生を対象にサッカーと英語をセットにしたスクールを展開。これにも週に1回携わるほか、神奈川県海老名市にある小学生のクラブチームでも、アドバイザーを務める多忙な日々を送る。
 
 日本サッカー協会公認の指導者資格は昨年末、A級ジェネラルを取得。来年は最上位のS級に挑戦する予定だ。

「S級を取って、いつの日かJリーグの監督をやりたい夢がある。今は指導者として何でも吸収し、たくさんのことを学んで引き出しを広げたいですね。高校生とも接しているので、学校教育についても勉強していきたい」

 監督との兼務が始まった昨季が1試合、今季も目下出場は1試合だ。「昔のような伝説的ゴール? それがチームの結果につながるのであれば、決めてみたい意欲はありますね」。背番号は浦和で着用して以来のナンバー9、記憶に残るゴールを量産した験のいい番号だ。

取材・文●河野 正

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