●ロボットやAIに実装することは不可能とは言い切れない
このように、アドボカシー、アカウンタビリティー、コーポレーション、ケアリングは、それぞれ困難が予想されるものの、ロボットやAIに実装することは不可能とは言い切れないということが、現状分析から示唆された。しかし、仮に将来これらの機能を実現できたとしても、それを看護実践に用いるべきかについては、さらなる検討が必要です。この研究は、ロボット工学やAI研究者に対して、⾃分たちの研究が広く社会の中で実装されていく時に留意すべき倫理学上の論点を示すものとなる。また、一般の人々にとっては、看護という⼈間的営みにおいてどの程度ロボットやAIによる代替を許すべきか、あるいは、どのようなロボットやAIであればそれらを許すのかという問題について考えるための気づきを与える、とした。
●看護分野におけるロボットやAI活用の倫理的分析の第一歩
研究を行った伊吹友秀准教授は、「本研究は、看護分野におけるロボットやAIの活用を見据えた、倫理的な観点からの分析の第一歩です。この研究を端緒として、今後、さまざまなステークホルダーによる一層の活発な議論が進んで欲しいと思っています」と述べ、今後の展開に期待を寄せた。

【論文情報】:
雑誌名:Nursing Ethics論文タイトル:Possibilities and ethical issues of entrusting nursing tasks to robots and artificial intelligence著者:Tomohide Ibuki, Ai Ibuki, Eisuke NakazawaDOI:10.1177/09697330221149094URL:https://doi.org/10.1177/09697330221149094