リフォーム検討時に、いちばん悩むのが業者選び。元リフォーム会社社員が、後悔しないための口コミの活用法を解説。気になる会社を見つけネットで調べるとき、「対応が悪い」「高かった」という口コミはとりあえず無視でOK。見逃せないのは、施工に関するマイナス評価のコメント。仕事で実際に経験したことも交えて、理由を詳しく語ります。

4年間リフォーム会社で働いてわかった舞台裏

筆者は大手不動産会社のリフォーム部門で、4年間働いていました。仕事は、顧客獲得のための営業から、実際に契約が結ばれたあとの、クライアントや施工業者との打ち合わせ、施工管理まで一貫して行っていました。

その経験から知ったリフォーム会社の舞台裏や、実際に起こったトラブルをもとに、業者選びの際、気をつけたいポイントをお伝えします。

 

ネットの口コミで「人」と「金額」は気にしないでいい

リフォームしようと考えたとき、大体の予算を立て、リフォーム会社を探すことになります。

そのとき、雑誌やネットでリフォーム業者を探し、候補に挙がった会社から絞り込むケースが一般的。ここでチェックして欲しいのが、ネットに書かれている口コミです。

口コミでまず気になるのは、「問い合わせへの返答が遅かった」「対応が悪かった」という対応に関するもの。しかし、これは応対した個人への評価。あまり気にしなくていいでしょう。

また、「金額が高かった」といった見積り関連の口コミも気になりますね。しかし、こちらも一概には言えないことなのです。

このあたり疑問に思われると思うので、詳しく説明していきましょう。

 

●担当による相性のよし悪し

まずは「人」に関する口コミについて。レスポンスの速度は会社や担当者の休暇の場合もあります。

「対応が悪い」という口コミに関しても、口調や言い回しに対する感じ方は人それぞれ。また、会社ごとにたくさんの社員がいるなかで、たまたま合わない相手に当たっただけということも。

口コミを書いた人にとっては合わなくても、自分にとっては合う会社・合う営業であるという可能性はあります。

 

●金額はなにに対して「高い」と感じるか?

金額についても、「他社と比べて高かった」のか「自分の想像より高かった」のかによって印象は大きく変わります。それに選んだ設備のグレード次第で、工事額は大きく変わります。

「同じ設備や仕上げをもとにして、複数の会社から見積もりを取って高かった」というなら話は別ですが、なにを基準に高いと感じたか書かれていない場合は、金額に関する口コミはスルーを。

人やお金に対する納得感は、価値観によって人それぞれです。なによりこの2つについては、契約前に判断できます。

確かに口コミで低評価になってと気になりますよね。しかし、テイストが気に入っているなら、コンタクトを取って、実際に話を聞いてもいいと思います。

施工に関するマイナス評価は要注意

しっかりチェックしたいのが、施工に関する口コミです。

「施工業者が現場で喫煙していた」「営業もプラン内容も満足していたが、施工が悪く、その後も対応が悪かった」。こういった施工に関する悪い口コミが複数ある会社は、避けた方がいいでしょう。

すべての現場で同じことが起きているとは限りません。ですが、施工に関する部分は、契約後に着工してからでなくてはわからない部分。

あと戻りできないタイミングで「やめておけばよかった」とならないためにも、こういった口コミが多く見受けられた場合は、候補からはずしたほうが無難です。

 

筆者が経験した施工会社のクレーム

私自身、リフォーム会社の営業として働いていた際、クライアントから施工についてのクレームをいただいたことが、何度もありました。その一例と裏事情を語りましょう。

 

●施工の多くは下請け業者が担っている

私が在籍していた会社では、施工は会社と契約を結ぶ工務店や職人、いわゆる下請けの業者が行っていました。こういったパターンは非常に多く、リフォーム会社で自社施工するケースはまれです。

会社では、それぞれの相手に対して、定めている現場のルールやマナーを伝える勉強会を行っています。また、施工管理を行う社員を現場に派遣して確認させることで、下請け業者が、会社のイメージを損なうことなく、施工を進められるようにしていました。

しかし、これらのことが徹底されていないケースが。さらには、現場に入る職人さんにルールを守る意識がない場合には、トラブルが発生することもあります。

 

●まさかの現場すっぽかし

戸建ての外装工事を請け負っていたときのことです。外壁の塗装工事を予定していた日にお客様から「だれも来ない」と電話が。施工業者からはなんも連絡がなく、私自身はそのとき別の現場に出ていました。

あわてて工務店の担当者に連絡を入れると、まさかの「今日は雨なので行きませんでした」という返答。確認したところ、工務店がある地域が悪天候だったため、外装工事はできないと判断し現場に行かなかったとのこと。

しかし、県境をまたいだ施工現場の周辺は快晴。施工するにはまったく問題がない状況でした。

施工予定日に現場へ行かないのならばせめて連絡がほしかった。そう思いつつ、お客様へ謝罪したことは忘れられません。

しっかり下請け業者を把握できていないと、起こりうるトラブルではあります。把握できていないことで、施工にムラがあったり、自分のルールで動いてしまったりする職人さんが出てくるのも事実。

言い方を変えると、一定水準のレベルに達している施工業者にしか依頼しないような、ちゃんと指導ができているリフォーム会社では、あまり起こりません。会社の指導がどこまで下請け業者へ浸透しているかが、じつは、先に述べたような施工に関する口コミの結果を左右してしていることが多いのです。

リフォーム会社選びは、規模や業態だけで決めると危険。口コミは、施工に関するものを要チェックというお話でした。