これまでに正式に太陽系外から飛来したことが確認された天体は、2017年のオウムアムアと2019年のボリソフ彗星の2例しかない。だが観測技術の進歩により、このような天体の観測事例はこれからも増えていくことだろう。
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最近ではどのようなメカニズムで太陽系外天体が太陽系にやってくるのかを、数値解析シミュレーションによって探る研究も盛んになってきている。カーネギーメロン大学とハーバード大学の科学者らは、地球の重力によって、太陽系外天体が地球に捉えられる可能性について調査した研究結果を発表した。
従来この分野の研究は、重力源として質量の大きな太陽や木星をターゲットとしたものばかりであり、地球を重力源として数値解析シミュレーションが実施されたのは、この研究が初めての例という。
数値解析シミュレーションは、太陽系外から飛来した様々な質量や軌道の天体を想定して実施。現存する地球近傍天体(NEO)の中に、太陽系外から飛来したものが数多く存在していることを突き止めた。
地球に捉えられる可能性が高いのは、離心率(e)が高く、軌道傾斜が低い天体であることも明らかにした。離心率とは2次曲線の特徴を示す指標で、e=0の場合は真円、01の場合は双曲線となる。つまり、地球公転軌道からの傾斜が少ない双曲線軌道で地球近傍に飛来した太陽系外天体が、地球に捉えられるケースが多いということだ。
ただしその確率は、木星が太陽系外天体を捉える場合の1,000分の1に過ぎず、地球が捉えた太陽系外天体の軌道は非常に不安定となり、地球近傍にとどまる時間もごく短時間になるという。
今回の研究では、現在太陽系の住民でありながら、実は太陽系外から飛来して、太陽系に住み着くことになった天体が多数存在する可能性が示されたわけだが、実際にそれを観測によって特定するのは、そのような天体の大きさが非常に小さいため困難を極めるだろうと科学者らは主張している。