鷹正宗(株)(TDB企業コード:820012922、資本金9000万円、福岡県久留米市小頭町8-12、代表茺粼公孝氏)は、6月1日に福岡地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。

 申請代理人は高松康祐弁護士(福岡市中央区警固1-12-11、弁護士法人みらい法律事務所、電話092-781-4148)ほか3名。監督委員には福島康夫弁護士(福岡市中央区大名2-2-26、福島法律事務所、電話092-781-5666)が選任されている。

 当社は、天保年間創業、1935年(昭和10年)11月に法人改組した180年以上の業歴を有する老舗の焼酎・清酒製造業者。麦焼酎「めちゃうま」を中心ブランドとした焼酎や、清酒「鷹正宗」、みりんの製造のほか、漬け物などの食品の卸も手がけていた。以前は大手飲料メーカーの管理下で運営されてきたが、地場中堅酒類問屋の(株)原武商店(TDB企業コード:820016501、同日に自己破産を申請)が株式を取得して同社のグループとなった経緯がある。清酒の主力銘柄である「鷹正宗」は、銘柄に「鷹」の文字が入っていることから、地元プロ野球球団とのタイアップを過去に行った実績などもあって知名度は浸透。焼酎関係は、モンドセレクションなどの受賞歴を有し、高い品質評価を得たことで、2006年12月期の年売上高は約51億円を計上していた。

 しかし、同業者との価格競争が厳しく、小売店向けなど国内向けの出荷量が減少するなど業績は低迷し、2022年12月期の年売上高は約27億100万円にダウン。利幅の薄い量販店向けの出荷などがあるほか、為替変動の影響による外国産原酒の変動や、資材関係の値上がりなどの影響を受けやすく、余裕のない資金繰りが続いていた。設備投資を銀行借入に頼ったことで、借入依存も高い状況にあったことに加えて、6月1日には関係会社である(株)原武商店が自己破産を申請。自力再建を断念せざるを得ず、今回の措置となった。

 負債は2022年12月期末時点で約36億8300万円だが、変動する可能性がある。