「まじろーくん出てきて」「どうか見つかりますように」――ツイッターで、アルマジロのような外見のパペット「まじろー」の行方に大きな注目が集まった。

20年以上連れ添った持ち主の女性が目撃情報を募っていた。家族のように大事にしていたパペットで、東京旅行後にいなくなってしまった。心当たりのある場所全てに問い合わせを行うも、見つからず、頼ったのがSNSだった。

投稿は大きく拡散。紛失物を探すノウハウが寄せられ、女性は懸命な捜索を続けた。そして迷子になってから約5日後、まじろーは無事に発見された。

J-CASTニュースは2023年3月19日、持ち主の女性に詳細な経緯を取材した。

家族として過ごしてきたまじろー

取材に対し持ち主の女性は、まじろーとは約20年前に神戸のおもちゃ屋で「運命の出会い」を果たしたと述べる。

アルマジロのように見えるが、背中のウロコが無く、何の動物を模しているか分からないという。「アルマジロじゃナイマジロ!」と喋らせているうちに、「まじろー」という呼び名がついた。まじろーは家族としてどこに行くのにも一緒だった。

まじろーのSNSアカウントを開設したのは、女性が一人暮らしを始めたころだった。離れてしまった家族にもまじろーの様子を伝えたいと考え、出かけた先々でまじろーの姿を撮影した。インスタグラムやツイッターでは「楽しかったまじ!また行こうまじ!!」「このお花は何まじ?」などと、おでかけを楽しむまじろーの様子が紹介されている。

まじろーがいなくなったことに気づいたのは3月5日のことだった。女性は前日、関西から東京に訪れていた。下北沢のドーナツショップで一休み後、ライブハウスに訪れた。その後は東京駅から高速バスで帰宅したという。家でリュックを開くと、まじろーが入っているはずのポーチがなかった。

SNSで拡散、発見へ

まじろーはドーナツショップで撮影後、行方をくらませてしまった。女性が心当たりのある場所すべてに問い合わせを行うも、見つからなかったという。手詰まりになった女性は7日、まじろーの各種SNSアカウントで次のように目撃情報を募った。

「3月4日にまじろーが行方不明になりました。20年以上一緒にいた大事な大事な友達です。当たれるところは全部当たりましたが見つかりませんでした。今、まじろーが無事でいてほしい、元気に帰って来てほしい。それだけを心から願っています。まじろーを見かけた方はご連絡頂けましたら幸いです」

このツイートは20日17時までに、3万7000件のリツイート、4万7000件の「いいね」が寄せられる大きな注目を集めた。ツイッターユーザーからは多くの心配する声が寄せられた。

「私も20年以上一緒に過ごしたぬいぐるみをなくして、未だに探し続けている者です。なので、まじろーちゃんの主さんの気持ちを痛感しています」
「アルマジロのまじろーですね。かわいい。微力ではありますが私も探してみます」
「こんなに一生懸命探されているので、ぜひ見つかって欲しいです」

さらに紛失物を探すノウハウも多く寄せられた。取材に対し女性は「たくさんのアドバイスを頂き大変勉強になりました」と振り返る。特に「どこで、誰が拾って、どこに届けられる」かを想定することが大事だと実感したという。例えば商店などで拾われた場合、店で保管することもあれば警察に届けられることもある。

また紛失物が発見されるまでに時間がかかることもあるため、何度か問い合わせを行ったほうがいいとのアドバイスも寄せられたという。女性はこのアドバイスが今回の発見につながったと振り返る。まじろーは9日、バスターミナル東京八重洲に届けられていた。

「友人達が手分けして各交通、施設に問い合わせをしてくれたのですが、そのひとつに類似品発見の連絡が入りました。1回だけでなく時間を置いて数回問い合わせをしてくれていたお陰だと思います」

「捜索にご協力くださった皆さんのお陰です」

バスターミナル東京八重洲に届けられたまじろーは、女性の友人に引き取られた。

「発見連絡が入ってすぐに現場に駆けつけてくれた友人は興奮のあまりどこで見つかったのか聞くのを忘れちゃったと言っていました笑」

女性は各所問い合わせ先に連絡を入れ、紛失届を取り下げた。再会を果たしたのは11日、関西から東京に迎えに行った。女性は取材に対し、一連の出来事を次のように振り返る。

「今回、大変お騒がせをしてしまいました、無事にまじろーが戻って来て本当によかったです。捜索にご協力くださった皆さんのお陰です。たくさんのリツイートやリプライで私と同じように大切なぬいぐるみの家族がいる人がものすごく多い事を知りました。その方達はまるで自分事のように心配してくださいました。また、大人なのにぬいぐるみが大事だという事を周り言わずに暮らしている方から私とまじろーを見て勇気をもらったという連絡もたくさん頂きました」

女性はまじろーが見つかるまで、車にひかれてしまったのではないか、ゴミと間違われてしまったのではないか、もう会えなくなってしまうのではないかなどとと、ネガティブな考えに引きずられそうになったという。しかしSNSで寄せられた励ましの言葉に支えられ、捜索を続けることができた。

また、ぬいぐるみの紛失に備えるアドバイスも多数寄せられたという。まじろーは布製なので落としても無音で気づきにくい。ポーチに鈴など音のなるものをつけたり、GPSタグを活用したりするなどの対策が参考になったという。

女性は「今後は落とさないように注意します!」と意気込んだ。