20代のうちに年収1000万超、タワマン・外車購入、大手外資系メーカーの営業職として働く“バリキャリ”のOL毒女ちゃん(@kaori_todo0902)。激務の仕事をこなし、一人暮らしをとことん謳歌する姿がYouTubeで注目を集めている。人がうらやむような高いスペックを持ちながらも、決してお高く止まらずに帰宅すれば全てをさらけ出して“オッサン”のようにくつろぐ。そのギャップは、どのように生まれたのか。彼女のキャリアは、手取り12万円の美容部員から始まったという。会社員とYouTuberを兼業する現在にたどり着くまでの道のりを聞いた。

【写真】OL毒女ちゃん、バリキャリもソファーに寝そべりポテチむさぼる…素の姿

■「見返してやりたい」悔しさから5回の転職

 YouTubeチャンネルでは、月の収入や支出、貯金額も明かしている。有休をとって一歩も動かずソファの上で過ごしたり、仕事から帰ってきてキッチンで夕食を取り始めたり…そうした私生活をさらけ出す動画には多くの共感が集まり、開設後1年間で急上昇ランキングに乗るまでに。OL毒女ちゃんこと、東堂かおりさんは「昔の自分なら、きっとここまでできなかったと思います。今発信できるのは、何が起きても揺らがない自分の芯を保てているから。それが私を支えてくれているんだと思います」と自身を分析する。

――最初の仕事は、百貨店の美容部員だったんですよね。新卒でその職場に入られた?

【東堂さん】私は大学卒業して、1ヵ月ニートだった時期がありました。就職がどこにも決まらず、暇な時を過ごしたんですよ。周りがピカピカのスーツを着て頑張って働いているときに、私はやるべき仕事がなかった。社会に必要とされていないって、どれだけ悲しいことなのか痛感しました。当時は周りも見えていなかったですし、頭も今より全然悪かったし、世間知らずで…社会人の始まりにして「私は終わった」っていう感覚でした(笑)。そろそろ働かなきゃなと思って1ヵ月遅れで入社したのが、美容部員の仕事でした。

――ご自身のキャリアに対して葛藤があったのでしょうか?

【東堂さん】確かに当時「手取りが少ないな」とは思いましたけど、これが当たり前なんだと思っていたんですよ。でも知り合った同世代の男の子たちを見て、「同じ社会人なのに、なんで値段を見ないで美味しいご飯が食べられるんだ? 生活水準が違うぞ?」と思った時に、初めて「私の12万って、ちょっとおかしいんじゃない?」と(笑)。タクシーに乗っても、メーターばかり見てイライラしていたし、金額を確認しないと買い物できない。もうちょっとお金を稼げる仕事に就きたいなとは思いました。

――そこから、5回転職をされています。職を変えるのは、相当なカロリーが必要だと思いますがいかがですか?

【東堂さん】やっぱり1度は痛い思いをしないといけないんだなと。そこで会社を移りたい気力や根性が湧いてきたので。私の場合は当時付き合っていた男性にもフラれて、初めて邪険に扱われるという経験をしたんですよね。思い描いていた生活を送れていない自分が悔しくて仕方がありませんでした。初めて「見返してやりたい」と思いました。男の子に負けるのってすごく悔しくて……って、転職に恋愛が絡んでるんかいっ!って感じですよね(笑)。

――(笑)! 動画でも、多くの方から仕事や転職活動に関する悩みが寄せられているようですね。

【東堂さん】はい。確かにSNSで転職の相談を受けることもあるんですけど、内容を見るとある意味“平和ボケ”してるんじゃないかな、と悲しくなることもあります。皆さん今の仕事に不満があるのは共通しているけど、そこから「人生を変えてやる!」ぐらいの念を感じないんですね。人生1回どっかで大きくつまづいて、「あ〜、終わった」というところまで落ちる…私はその経験があったからこそ、今どんなに辛いことがあっても感謝し続けて働けるんだと思います。

■「やりたくないこと」をやるために「根性」を貫く

――今は大手外資系メーカーで営業職をされています。ご自身にとって営業は合っていると思いますか?

【東堂さん】はい。私、結局人生すべてが営業職だと思ってるんです。販売はものを売るのがメインですけど、営業は人間関係を構築することがすべてだと思います。たとえば自分が独立して経営者になったとしても営業職だと思いますし、専業主婦になったとしたら、それは家庭の中を円滑にするための営業職だと思うので。そういう意味で、常に私は営業としての土台を忘れないようにと思っています。

――外資系企業で働くというのは、実力が伴わなければいつ解雇されてもおかしくはない厳しい世界ですよね。動画では「根性」という言葉をよく口にされていて、それが東堂さんの仕事の信念にもなっているように感じますが、いかがですか?

【東堂さん】これは私の考え方ですが、やっぱり根性とか気合がなければ、人は何もできないんじゃないかなと思っています。仕事って自分の得意分野を生かすだけじゃ多分回らなくて、+αで「やりたくないこと」も関わってきますよね。その「やりたくないこと」をやるためには根性や気合が必要だと思います。

――今の時代「根性」を持ち合わせている働き世代が少なくなっているのでは? という声も聞こえてきそうです。

【東堂さん】自分の信念は持っていてほしいと思います。だからこそ、私はYouTubeで発信をしているので。「平和ボケすんな!」と、時に厳しいことも言います。

本業のキャリアで考えると、私はまだ年齢的にも若い方ですけど、聞きたいことは聞き、言いたいことは言います。人に「それって、こうなんじゃない?」と言われて、簡単に引き下がろうとしないのも、ある意味“根性”だと思うんです。そのくらいの気合いが入った上での発言ですよと。私にとっては、ベースとして常にあるものが「根性」ですね。

■「自分の素を出せる」兼業YouTuberだからこその強み

――動画はYouTubeの急上昇ランキングに掲載されることも。率直に反響をどのようにとらえていますか?

【東堂さん】最初は本当に軽い気持ちで、趣味程度であればいいと思って始めたんです。なので、こんなに私を認知してくれる人が増えたことに驚きを隠せませんでした。

――動画では自然体で発信する姿が共感を呼んでいます。自分の素をさらけ出すことに怖さはありませんか?

【東堂さん】まったくないですね。それは、私一人で、自分の足でどこまでも進んで行ける状況を作れたからだと思います。経済的に困ることなく生きていくことができますし、人を助けられるキャパもあります。そういった自分の芯がしっかりしていれば、見た目がどうだろうが、休日に汚い部屋でどうしようが、お腹をさらけ出そうが、何も変わらない自覚があります。私の場合、その自覚があることが圧倒的に強いと思います。

――会社員とYouTuber、二足の草鞋だからこその強さはあると思いますか?

【東堂さん】それもあると思います。YouTubeの企画でのびのびやれているのも、兼業だからこそですよね。これがYouTube一本だったら、多分もっと数字を取れるような過激な内容に走ってしまい、本当の自分の像を見せられなかったかもしれないです。今後も五分五分でやっていくのが一番の理想かなと思います。

――今後OL毒女ちゃんとして、どのような発信をしていきたいですか? 

【東堂さん】チャンネルの方向性は今まで通り、OLとして社会で揉まれていることを発信していきたいです。また、人の顔を伺いすぎたり、社会の考え方に流されすぎたりする大人が圧倒的に多いので、そういう人たちに向けて「周囲に流されない心の強さを持つことが大事」というメッセージも入れていきたいと思います。やはり現実を見なきゃいけないと思っていますので、そのためには優しいことばかりじゃなく、時には厳しいことも言わないといけないと思っています。

この1年で見てくださる人が増えたお陰で、私の人生は180度変わって、毎日楽しくなりました。辛いこともあったけど、私に味方がいてくれたことが心の支えとなっています。これからも、私は私で変わらずに発信したい。自分の道はブレずに行きたいと思っています。