最近見かけない? 「たばこ装備」の行方は

 新しいクルマには最新の装備が備わっており、便利な機能が続々と追加されています。
 
 一方で、かつては定番ともいえる装備だったものが、最近のクルマでは採用されなくなったり、減ったりしている装備もあるといいます。

最近見かけない「たばこ装備」

 最近のクルマには、USBソケットが標準装備されたりBluetoothが接続できたりなど、便利な装備や機能が備わる一方で、過去には多くのクルマで採用されていたのに、現在ではほとんど見かけなくなってしまった装備があります。

【画像】フロントのボンネットにあった「これ」も最近見ない… 画像で見る!(20枚)

 その代表的なものが「たばこ」に関する装備で、主に「灰皿」「シガーソケット」が挙げられます。

 たばこの吸殻を入れる灰皿は見たことがあっても、シガーソケットは見たことがないという人もいるかもしれません。

 シガーソケットは電熱式のタバコ着火装置で、車内のソケット部分と組み合わされ、ボタンのように押し込むことで通電し、渦巻状の電熱線が熱を持つことでたばこに着火できる仕組みとなっています。

 たばこ装備について、30代女性Aさんは以下のように話します。

「今から25、6年くらい前の私が幼稚園から小学校低学年の頃にシガーソケットや灰皿の装備があった記憶があります。

 当時、母はタバコを吸わないので灰皿を小銭やちょっとしたゴミ入れに、父はヘビースモーカーだったのでガッツリ灰皿にタバコ入れていた記憶があります。

 直接見たことはないのですが、シガーソケットをライター代わりにもしていたようです。

 昔はガソリンスタンドでも『灰皿ありますか?』とよく聞かれていましたが最近は全然聞かないですね」

 このように、かつて標準装備だったたばこ装備が最近見かけない理由には、たばこの喫煙率が要因のひとつとして大きく影響しています。

 たばこや医薬品、食品などを扱う日本たばこ産業(JT)の調査によれば、喫煙率がもっとも高かったのは1966年でした。当時の男女の喫煙割合は女性18%、男性83.7%で、男性は全体の8割が喫煙者であったことが分かります。

 その後数値は徐々に下降傾向になり、2000年には成人男性の喫煙率は53.5%でしたが、2018年には27.8%まで減少。

 JTが最後に発表した2018年の喫煙率は、女性8.7%、男性27.8%とピーク時と比べて大きく数値が低下しています。

 また現在では、国全体で禁煙対策が強まり、「多くの施設において屋内が原則禁煙に」「20歳未満の方は喫煙エリアへ立入禁止に」「屋内での喫煙には喫煙室の設置が必要に」といった項目がマナーからルールへと変化し、全面施行される動きになっています。

 健康意識の高まりから喫煙者が減ったことに加えて、喫煙者のなかでも従来の紙巻きタバコから加熱式の電子タバコに移行した人も多く、加熱式電子タバコを吸う人はライターを使わないことも、シガーライターが姿を消した要因のひとつといえるでしょう。

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 自動車業界関係者のA氏によると、「かつては当たり前だった灰皿も、2005年(15年前)前後には多くのクルマでオプション装備か廃止になっていたと思います。

 またシガーライターは同時期に12Vのアクセサリーソケットへと姿を変えていますが、こちらはいまも残っているケースが多いですね」と話します。

 たばこ装備は、時代の変化とともに姿を消しつつあるといえるでしょう。

ほかにもある! 最近見かけない「装備」とは

 たばこ装備のほかにも、現在では見かけなくなった装備があります。たとえば、「コインホルダー」は最近のクルマにはほとんどついていません。

CDチェンジャーのイメージ

 かつては有料道路の料金所など、運転中に支払いが必要な機会が多かったため、コインホルダーがあると便利な装備のひとつでした。

 ですが現在ではETCが普及して料金所の清算が不要になったため、車内で現金が必要なシーンが少なくなっています。

 また、自動販売機やコインパーキングなど、ドライブ中に支払いをおこなう場面でも、クレジットカードやQRコード決済が使える設備が増え、現金からキャッシュレス決済に以降したことから、車内に現金を置いておく必要性が低くなりました。

 また硬貨とはいえ、外から見えるところに現金を置いておくことになるため、防犯的に避けるようになったとも考えられます。

 ちなみに灰皿が消えつつあった過渡期の頃には、灰皿を小物やコインが入れられるケースに変える純正アクセサリーも用意されていました。

 ほかにも、最近ではBluetoothでスマホと接続して音楽を聞いたりDVDを再生したりできるようになりましたが、昔はカーオーディオでCDやカセットテープ、MDなどを再生していました。

 現在でもCDプレイヤーがついているカーナビやカーオーディオがありますが、CDで音楽を聞くことが主流だった時代のクルマの装備では「CDチェンジャー」が人気でした。

 CDチェンジャーは複数のCDを入れることができ、入れ替えすることなく色々なCDを聞くことができる便利な装備でした。

 こちらも音楽がCDからストリーミング再生に変化したことで見られなくなった装備だといえます。

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 かつて標準的に装備されていた、シガーソケットや灰皿などの「たばこ装備」は、今ではほとんど見られません。

 クルマに装備されるアイテムは時代の流れとともに大きく変わり、時代に合わせて見かけなくなっていくものもあるようです。